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『義教記』~転生したら足利義教でした。【完結】  作者: 万人豆腐
『山口小京』 嘉吉四年(1440)
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第百九話 そして今も:大内盛見の敵討

第百九話 そして今も:大内盛見の敵討


 九州の争いは複雑怪奇なり。例えば少弐。太宰大弐の副官のはず。とは言え、鎌倉時代には立派な土着の勢力となり、元寇で活躍した後、足利尊氏の反攻作戦にも協力したが、今ではすっかり仲たがい。最初の頃は、幕府と反幕府の双方に少弐一族が分かれていたのだが、いつの間にやら反幕府に固まったのは、中央が曲がりなりにも安定したからだろうか。


 少弐の当代は、大内盛見を敗死させ調子に乗った挙句、嫡子諸共返り討ちにあって戦死した少弐満貞の息子・教頼であるが、未だ少年の域を出ない。それに、俺の偏諱を受けているのでそこまで反抗的ではなくなっているのも「大内引いて待て」戦略の効果だろう。


 共通の敵が存在すれば、お互いの利害を超えて協力する。いなくなればお察しの通りの状況となる。


 菊池君は徹頭徹尾南朝方なので別に構わない。懐良親王かねよししんのうが建武の新政崩壊後『征西大将軍』として九州に下向してから、終始、阿蘇氏らと共に南朝方として従っている。


 先代は菊池『肥後守』兼朝。大内盛見を少弐と共同で敗死させた。因みに、肥後守は肥後守護阿蘇氏が継いでいたのだが、統治できていないということで菊池氏に委ねられている。


 ところが、大内持世の引いて戦う戦略になってから、親父と違い幕府と揉めてはいけないと考えていた嫡子菊池持朝が永享二年に親父と弟菊池忠親を追放、更に、この忠親を敗死させている。


――― 空気の読める男・肥後守持朝・餅友と改名してもいい気がする。




 となると、博多の権益を確保し幕府に対抗している主な勢力は豊後大友氏ということになる。


 大友宗麟の代に北部九州一帯を影響下に収めた自称「源頼朝」の子孫だな。お前ら、頼朝のお気に入り一族で、娘の乳母の一家が鎮西に威を張った一族だろ? 一族が多いところは足利に似ているな。そこは評価しよう。


 前にも述べたが、博多の街は大友と少弐が抑えている。その利益が大友をのさばらせている要因であり、討伐する理由でもある。


「大樹、九州親征は如何相成りましょう」


 大内の血統『教佑』が九州方面に関しては統括している。今回は室町将軍・大内・九州管領に兵站は細川等担当になるので、その調整役はこいつになる。実施の下向時には軍監も務める予定だ。


 因みに、もっちーこと細川持之は「まじっすか兄貴、結構かね掛かるじゃないっすか。やめときましょうよ」と言っていたが……


「大友を豊後下半国に押し込めて、豊後北半国は細川に……代官させてやろうかとおもったがやめよう」


 と話したところ「マジ、兄貴冴えてるっすね」と掌がグルンと返った。長年戦った大内が直接境を接するより、瀬戸内にネットワークを持つ細川一族を置いた方が『緩衝地帯』になると思ったのだが、それで面倒な大友の抑止力になるならラッキーという感じだな。


「博多は大内と将軍家で大友・少弐と入れ替わる事にする。それと、大内の山口が落ち着いたら、『大宰府』を復興させ、将軍家から『鎮西将軍』を送り込むつもりだ」

「……九州管領はどうなりましょうや」

「そうだな、名誉職なら渋川と大友と交互でも構わんな」


 九州管領になれば、権威も名誉ももたらせるであろうし、何より幕府の紐付きとなる。領国を減らされ家内統制に困るであろう大友に飴も出さねばなるまい。


「管領として博多に幕府の管理地を統括させる……という実を取らせる事も考えるが、少し先の話だな」

「……それは大友も納得するやもしれませぬ」


 いつまでも南北朝やってる場合じゃないって事と、博多から京に通じる流通網に大友も加えることで互いに良い影響も出て来る。自分が幕府と対抗するために博多を手に入れておきたいのか、その反対なのかはわから無いが、滅ぼされることもなく、博多の権益も多少残り、管領という幕府の実力者に加わるのであれば……問題あるまい。


 その上位者には「副将軍」大内が存在するのだが、これも先の事は分からないからな。鎮西将軍・副将軍・探題職のピラミッドで西を抑えるようにしたいものだ。


「肥後は菊池に委ね、それ以南は無視だ」

「では、肥前と壱岐・対馬はいかがなさいましょうや」


 肥前と壱岐は正直菊池君の配下でもいい気がする。倭寇の根拠地で幕府に所縁の深いものがいると「討伐」しにくいからな。菊池を『壱岐守護』に転任させ、「お前らの顔で倭寇管理しろ。出来ないなら、まとめて討伐する」位の対応をしようかと思うのだ。


「対馬はこれまで通り。米は売ってやる、官位は対馬守を与える。そして、二股膏薬するのであろう」


 対馬は朝鮮貿易の関係で今まで通り仲介役をしてくれれば、博多の商人も文句は言うまい。弄る必要はないだろうさ。




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