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『義教記』~転生したら足利義教でした。【完結】  作者: 万人豆腐
『鎌倉鎮守府』 嘉吉三年(1439)
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第百七話 哀になる:播磨の国人を供奉するなら

第百七話 哀になる:播磨の国人を供奉するなら


播州人と赤穂浪士……理不尽大魔王のお話だな。


 え、だって、浅野内匠頭って本人もどうかと思うが、恐らく江戸家老と留守居役が播州人だったんだろうな。彼の国の人達とよく似ている。


 『ちょちょら』読んで勉強し給え。


 そもそも、大名が幕府から委ねられる仕事ってのは、一つの藩だけで行われることはまずない。所謂、ジョイントベンチャーなわけです。


 京から来る朝廷の使者の接待がお仕事でした。この場合、仕事の相手は『使者』ではなく、その供応役を供に勤め監督をする高家の家中の皆さんです。


 阿呆藩の皆さんはそれがお分かりでなかった。


 浅野家自体は、これが三度目の饗応役であり、内匠頭自身は二度目ということもあり、まあ、吉良上野介が高家の仕事で京に上っている間、単独で仕事を熟していた……ということになっているが、多分そうじゃない。


 高家は格式は高いが身代は旗本並み。つまり、格式並みの構えを維持するには、皆さんの心遣いが必要なわけです。だから、饗応役指南を行うことでお礼を頂いて回っている。幕府の仕様なわけです。


 毎年、朝廷から来る勅使の饗応役を外様が常に務めるという事も、幕府からすれば天下普請のようなもので、外様に金を使わせるのが目的なので、高家に礼金を払わせるのは当然でしょうか。


 ところが、三回目だし自身二回目だから、今回は吉良の手助け無しで饗応役を務めて礼金ケチろう! とか思っちゃったんだなこれが。そりゃ、弁護士だって会計士だってただで指導しちゃくれませんよね。営業で無料相談会ってのやるけど、そこで解決するわけじゃないから。


「あ、詳しい事は事務所でお話ししましょう。有料ですけどね」


 って展開になる。相談して弁護してして活動するなら当然金とるわ。


 浅野君も最初は過去の記録があるからって頑張ったけどさ、三十年前と十五年前の事はわかっても、去年どうだったかは去年の饗応役と吉良さんしか知らんわけでしょ。普通の江戸留守居なら、手土産もって去年の饗応役の家に挨拶に行って、助言を賜ったり、吉良さんに指導を受けるわけです。


 十五年前の過去問で勉強して、最近の傾向とか予備校で教わっていないのに上手くいくわけないよね! 


 結果として、少々の金をケチったおかげで色々大事なことが全然わからず、四苦八苦したんだろうと思う。全部自業自得だけどね。一応、問題にならない程度に無料で吉良上野介もフォローはしたと思うけど、そりゃ礼金無しで礼金有と同じ指導をしたら来年から困るから、そこはそれなりでしたでしょう。


 確定申告の税務相談だって、税金が高くなる方と安くなる方のどちらを指導するかって、当然高くなる方を指導するのが税務署の無料相談だから!只より高い物はないんだよ。知っている人は税理士使うわけです。


 ということで、自分が色々やらかして思い通りにいかなくてイライラしてたんだが、「No吉良キャンペーン」とか「経験があるから指導はいらない」

と自分たちが高家の指導を手数料ケチって割れソフト使って動作不良起したにもかかわらず、吉良を逆恨みするメンタリティー……流石播州人浅野内匠頭だよね。


 そりゃ、切腹御家断絶に吉良に御咎めなしとなるわ。頭おかしい人に絡まれて理不尽な暴力・殺人未遂事件、それも勅使接待中の江戸城内で事件起してるんだぜ……浅野家の江戸詰め全員極門首でもオカシクナイ。馬鹿な藩主の暴走を止めるのが家臣の役目なんだからさ。


 それも……匕首=ダガーで切りつけたってのもNGだったらしいね。刺突武器で斬撃したのが武士の嗜みとしてダメだってさ。おまけに、殺せてないからね不意打ちなのに。全然だめだよね。




 さて、駄目の三連星で見事切腹になった浅野内匠頭だけど、家中は収まらない。大体、自分たち=江戸詰めの家臣たちは自分たちに都合の悪いことは言わない。本質的に浅野内匠頭を切腹に至らしめたのは、吉良上野介でもなければ徳川幕府でもなく、本人の浅野家の江戸詰めの家臣たちだったということになる。これが、因果関係から考える正しい思考だ。


 それを言うと、敵討ちができなくなるという理不尽な理由で、国家老一党は無視をしたわけだ。江戸詰めの奴らは自分たちに非があるし、主君を追い詰めたのは自分たちの不手際だと分かっているから敵討をするなら、討たれるのは自分たちということになるから賛成しないわけです。


 確かに理不尽な想いを感じるかもしれないが、取り潰し以外の選択肢はないわけで、その後、浅野大学(弟)が旗本として取り立てられているから、家は再興されているわけだが、浅野内匠頭の藩は無くなっちゃうわけでだ。その怒りの矛先を吉良上野介に向ける……お前らが加害者だろ。


 そして、逆恨みした相手を執拗にストーキングし、何度も制止命令が出ているのに無視。将軍家のお膝元で堂々とテロ行為に及ぶ。そりゃ、切腹になっただけ徳川綱吉はよく我慢したと思う。普通は斬首だろ。


 長々書いてきたが、播州人は度し難いという事なんだよね。


 その播州人が集まっている赤松君ちとか、バルカンの火薬庫的存在。播磨の火薬庫とでも言えばいいでしょうかね。


 そんな奴らを直卒して九州攻めをするとは……毒を以て毒を制すだよね。さて、一度山口の状況を確認するか。娘の嫁ぎ先でもあるしな。







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― 新着の感想 ―
[一言] そういえばそういう季節ですね。 一時期毎年のように年末になったら忠臣蔵やってましたね。
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