表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『義教記』~転生したら足利義教でした。【完結】  作者: 万人豆腐
『畿内融和』 嘉吉二年(1438)
103/120

第百三話 やさしい風が吹いたら:義三兄弟=俺と帝と満綱と

第百三話 やさしい風が吹いたら:義兄弟トリオ俺と帝と満綱と


 六角満綱からは内諾をもらい、立て籠って様子を見ると返事がきた。一色君ぐらい他人なら、殺してもいいんだが持氏よりは親戚だしな……『悪御所』から脱したわけで、共存していく方向にしよう。


 近江の国人領主の主だった者に本来なら「六角に同調するな」と命ずる書状を出すのが本来のあり方なのだろうが、それは乱を治めるためだな。


 近江は、寺社・地侍や国人と「惣」がそれなりに強い地域でもある。商業系の人間関係が根をはっている。その流れを京から敦賀・駿河まで収めるには、その経路上の国人共を弱め口を出させないようにする必要がある。


 堅田と坂本は理解しているだろうし、今浜は元から俺のものだから、それ以外の近江の勢力をどさくさ紛れに叩きのめしておこうと思うのだ。


――― だって帝や公家・寺社の御料や荘園を横領しているお前らが悪い。調子に乗んな!! 俺の義弟だぞ!!


 そう考えると、帝と六角君も義兄弟同士だな! 




 近江守護代も務める伊庭氏は伊庭満隆が当主である。本拠は神崎郡でほぼ六角の本拠でもあるからこれは問題ない。


 山岡氏は草津周辺の有力国人でこれも幕臣に加えると有無を言わせずこちらの影響下に置いている。何故なら……伏見が街道整備のお陰で草津の経済に限りが見えている。更に、今浜の影響も出ているからだ。今、将軍=京経済網からはじき出されたなら何をされるか分からないという事もある。ま、坂本ほど意地悪はしないつもり。つもりだよ。


 甲賀郡山岡邑から発祥の一族故、草津の馬借の中に「草」を紛れ込ませているのではないかと思うが、その辺はお互い知らぬふりの方が良いかもしれない。


 坂田郡の新庄氏は代々幕臣であるからこれも対象ではない。江北の六角と縁遠い京極影響下の国人共には大人しく返せば兵は向けないと坊主軍団や今浜の草の者たちを差し向け、念書と安堵状の仮の物を渡してある。


 今井・河毛・今村・赤尾・堀・安養寺・三田村・浅井・弓削・河瀬・二階堂ら、主として湖北各地に割拠する国人である。浅井や赤尾は今の時点ではこのレベルなんだよな。前田利家の実家くらいの規模か。一万石くらい?


 ここに出ていないが磯野・雨森・井口に赤尾を加えた四家が有力な国人であり、ここには『悪妙椿』教利を直接出向かせ懐柔している。幕府直臣なら文句はないだろう。それに、今の状況だとお前らの領地、京経済網から外れちゃうぞ! で説得している。


 今浜・敦賀でバイパスされかねないからな……


 井口は佐々木泰綱の系統で、江北の水利を委ねられた家系なので、是非大切にしたいと思う。戦略物資・水。


 そうかんがえると、江北では高島氏、江東では高野瀬、江南では赤田・青地氏辺りを抑えねばならないだろう。


 高島は嫡流高島氏を中心とする朽木・永田・平井・横山・田中の高島一族狭々貴系山崎氏を含めて「高島七頭」と呼ばれる武士団で奉公衆なのだが、横領の話は耳に入っている。特に、湖西の荘園に侵食しているのを幕臣だからといって許すつもりもないのだが、何を考えているのだろう。


 たまには、朽木谷から江北に出て、恫喝するのも良いだろう。戦闘は但馬の野蛮人どもだ。面白いよねきっと。




 田植えも終わり、書いた手紙も行き渡ったはずなので、但馬の兵と俺の番衆を伴い、将軍親征を再び行う。今回は、大和と伊賀の兵を草津に終結させ、これを仁木が指揮を執る。


 脅しではなく、実際攻めるという姿勢を見せる為だ。従わない国人には、最後通牒を送りつけている。その数五千。


 高島郡に侵入した俺の直卒の軍、一万。うち三千が但馬の兵士だ。指揮は応仁の乱でも暴れた但馬の旗頭太田垣光景。独立志向の強い男であり、応仁の乱後は山名の相続争いに乗じ、但馬四天王と呼ばれる垣屋氏・八木氏・田結庄氏と語らい半ば独立している。


 この辺、守護代=将軍直臣=大名統制の手法としてうまく利用していく事を考えている。守護はそのまま、守護代も将軍直臣化し、その相続に将軍の承認が必要であり、朝廷に任免してもらう必要があるという流に持っていく。


 朝廷は定期的に収入が発生し、地方の国人には帝と将軍からその地の支配権を認められるわけだからWin-Winの関係を築けるだろう。


「大樹、続々と国人共が使いをよこしてございます」

「但馬の者に伝えよ。先に手を出すな。出さば、征夷大将軍の命を聞けぬ者と判断するとな」

「「「はっ!!」」」


 急ぎ、伝令役が走り出す。


 あいつら、刈田狼藉する気でやってきているからな。田植の後の季節を選んだのは秋だと止める間もなく始めそうだからだよ。


 まあほら、将軍は直ぐにやって来るって脅しじゃないとこれで近江の国人や地侍どもも気が付いただろ? 次に土一揆始めたら根切にしてやる。



 お話の続きが気になる方はブックマークをお願いします。


「更新がんばれ!」「続きも読む!」と思ってくださったら、下記にある広告下の【☆☆☆☆☆】で評価していただけますと、執筆の励みになります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

参加中!ぽちっとお願いします
小説家になろう 勝手にランキング

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ