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大凶を引き当てた男は異世界転移する  作者: かりんとう
9章:最終決戦、王の集いをぶっ壊せ!
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時を待つ


1週間の静養が必要となったシンイチロウ。目覚めた後は大変な騒ぎだったがそれは置いておいてあれから数日経った6月の中旬頃の時間が取れたあくる日、3人は部屋に集まっていつものように話し合いをした。


「大分調子はよくなったのね、顔色も良くなってきたわ。」


「心配掛けて済まなかった。」


もう、この日何度目かの謝罪を口にした。エレノアと昭美さんは首を振っていた。


「シンイチロウさんのせいではありません。でも、どうしてあのような目に遭ったのですか?」


「それなんだが、実は___」


何とか証拠を手に入れてから、戻ろうとしていた途中に妙な黒装束の男3人に遭遇してそのまま交戦、なんとか殺されずに逃げ切れたが、彼らの短剣に毒が塗られていて負傷した腕から毒が回っていった、逃げるために走ったからか回るのも多分速かったというようなあの秘密通路であった事を話した。


「………確かに、あの通路の事は私達のような存在以外にも知っているっていう設定でしたもんね。すっかり忘れていましたがそうでした。」


「少し考えれば分かりそうなのに、手柄を欲するあまり焦りすぎて視野が狭くなっていたのかしらね。それで、貴方をこんな目に遭わせたのはノルマンディア公爵なの?」


「いや、それが___」


それで男が話していた内容を話した。彼らは女帝側の人間であったという事、先代ノルマンディア公爵は疎まれていた為にその息子のノルマンディア公爵はあの通路の存在は知らないという事などを共に話した。


「……先代のノルマンディア公爵が先々帝から疎まれていたという噂は聞いたことありますけどまさかそこまでとは………」


「それに、女帝陛下があの通路の存在知っているならその貴方を襲ったという手の者に探らせていたのじゃない?ならば、あの証拠を見せて女帝陛下と協力できれば……」


「実際、そんなにうまくはいかないだろ。確かに俺は証拠を持っている。しかし、それをポンと見せても女帝はコイツも内通者であり、しかもほとんど誰も知らない筈の通路の存在を知っている危険分子と見られるだろうな。そうなれば、こっちが終わりだ。正直者が馬鹿を見る結果になるんだよ……俺は三度目の牢屋暮らしは嫌だ、あんな暗くてじめじめしててゴキブリとかネズミが友達な場所に行きたくない!」


目の前に血判状と呪いの品を置いて腕を組む。…するとエレノアに『腕の傷がまだ治った訳じゃないんだから、腕を組まない!』とお母さんみたいな口調で叱られた。


「じゃあ、一体どうすれば良いって言うのよ!」


「う~ん、あの通路には女帝の配下がうろついているから通路はあんまり使えないし、こんな状態では情報収集もままならない。下手に動くのは却って自分の首を絞める事となる、今は時が来るのを待つしかない。」


「シンイチロウ……そうね、貴方はこのままじっとしておきなさい。向こうの情報ならば私がちゃんと探ってみる、ナショスト公爵派だけじゃなくてあちら側からも招待状は来ているからとりあえずできるところまでやってみる。」


「本当に済まないな……」


「じゃ、じゃあ、私もエレノア様と共に……」


昭美さんがそう言いかけた所でエレノアは大きな声でダメだと言った。


「ど、どうしてですか!私だって、シンイチロウさんの為に……」


「アキミさん、貴女のお父様に遭遇するかもしれないのよ。財布にされた原因の貴女が目の前に現れたらどんなことになるのか……想像もできないわ。もしかしたら変わりすぎた貴女に気づかないかもしれない、それならば別にいいわ。でも、もし気づかれたら………」


「そうだ、自分が落ちぶれた原因に会えばどうなるのか分からない。俺だったら首を絞めて殺したくなるよ。人間には理性がある、だけどその欲を抑える為の理性が効かないぐらいに激しい感情に支配される時がある。だから、昭美さんはエレノアではなく伯爵夫妻の方に付いたらいい。あの2人はナショスト公爵派の方の夜会に行くと聞いたからそちらの方に付いてくれ。……俺はポーターやセイラと共にお留守番している。その方が安全だ。」


「………分かりました。」


しばらくの間、納得いかない様子であったが昭美さんは渋々納得して一言言った。


「ツラいな……後一歩なのに、ちゃんと証拠もあるのにクーデターの起こす時期も分からなければ、“王の集い(KINGCLUB)”も女帝も敵とはせっかくの証拠が無駄だ。」


「………そうね、今は時が来るのを待つしかないのよ。頑張りましょう。」


「シンイチロウさん、そうですよ。」


2人に励まされるように言われたシンイチロウは歯がゆくて悔し涙を浮かべながら顔を覆った。__今は動けない。証拠はある、でもそれを託せるほど信用できる相手が居ないのだ。

シンイチロウには今のその現状が歯がゆくて仕方なかった。




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