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大凶を引き当てた男は異世界転移する  作者: かりんとう
8章:性悪メイドを懲らしめろ!
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結局何で戦うのか……


いけない、遅れてしまう!

今日はついにエリスとの決着をつける日、それにもかかわらず俺は大遅刻をしてしまい先を急いでいる。……くっ、俺は宮本武蔵になる気などないのに、 これじゃ巌流島スタイルじゃないか。


「確か、ミゼラブル児童公園だったよな?ちくしょう、もう5時じゃないか!絶対にあの婆さんのせいだ!」


シンイチロウは大きい独り言を言いながら、公園へと向かっていた。

普段から遅刻魔だった彼、その彼が遅れているのはただ遅刻してやろうと意図的に思ってこうなっているのではなく、森を出てすぐに出会ったお婆さんが大きな汚ない壺を運んでいたのでそれを手伝っていた。そして、壺を運びながらの世間話でこの壺が20万マルチウスマルク(日本円に直すと200万円)だと聞いて、『どう見ても贋物にしか見えない』と言うと逆上したお婆さんに引っ掻かれ、蹴られ……クソ、人助けなんて柄にもない事をするんじゃなかった!と今とても後悔しているのだ。

やっと着いた。携帯に表示されている時刻は5時24分、一時間と24分の大きな遅刻だ。


「人を勝手に呼び出しておいて遅刻って酷くないですか!」


「済まない……」


ん?なんで俺は謝っているんだ?悪いのは、余裕もって出なかった俺2割お婆さん8割な気が……どっちにしても遅刻に変わりはないか。

ミゼラブル児童公園には、夕方の肌寒い風が吹き荒れていた。


「さて……ナレーションは私、中井昭美がやります!エレノア様は審判をお願いします。」


「はーい、ちゃんと目を離さずに見守っているわ!ヘンリー、貴方はちゃんとそこに居なさいよ。」


「ハイハイ、居ますよ。俺には出番は与えられてねぇみたいだしな」


________


「そういう訳で始まりました、2人の対決!おっと、シンイチロウ選手はヤル気漫々なようです!一方のエリス選手は、まだ本気を見せていない様子!……どうですか?1回でもいいからナレーションやってみたかったんです。」


「中々ね、初めてとは思えないほどに上手いと思うわよ?」


一見するとほほえましく見える光景だが、シンイチロウは2人の目が笑っていない事に気がついて静かに震えた。これは、自分の為だけでなく彼女の為にも勝たないとどうなるか見当もつかない。女性とは恐ろしいものだ。


「さて、第1試合。将来の夢は国土交通大臣政務官、日本が産み出した大器晩成型大型新人、山内信一郎 対 特技はお皿拭き、マルチウスの韋后エリス!

両者は向かい合ってください。」


「大器晩成型大型新人ってなんなんだ……初めて聞いた言葉だ。」


「イコウってなんですか?」


韋皇后、確か中国唐王朝の皇帝中宗の皇后で武則天の真似をしようとして失敗してしまった歴史上の人物だったか……?まったく、イギリスなのか中国なのかハッキリしてほしいところだ。


「…………おいヘンリー、ところで何の勝負をするんだ?勝負内容は当日知らせると言っていただろう?いい加減何の勝負をするのか言ってくれないか?」


「………………」


ヘンリーは視線をさ迷わせ、何も答えようとしない。これは、4日あったのに何も考えていなかったんだな………向かい合っているエリスもヘンリーに同じような目を向けていた。珍しく意見が一致した。


「う~ん、じゃあタイマン張ればいいんじゃないか?」


「お前なあ、男女の差を考えろ!俺はそんなどちらかに有利な試合がしたいんじゃないんだよ、ここでぶつかり合って何のわだかまりもなく最終決戦に挑みたいんだ。」


「何をそんなに熱くなってるんだ?……じゃあ、トランプ…いや、風でカードが飛ぶならダメだな。こうなったら、あれだ!

小物作り選手権しか無いな。ルールは簡単、森にある物を使って小物を作る、その出来映えを競うという簡単なものだ!」


「今から森に入ると絶対に危険な目に遭うぞ。多分、動物に襲われたりとか……道に迷ったりだとかあるから止めた方がいい。」


その後もヘンリーは案を出し続けたが、どれもダメだった。俺がよくても向こうが不利だとか、その逆もあった。


「じゃあ、竹馬ならいいんじゃないか?これなら芸術分野がゴミみたいな実力だったとしても大丈夫だし、男女の差を気にする必要もねぇ!完璧だ。これぞ、俺らが求めていた物だ……!」


「「ゴミみたいな実力で悪かったな(ですね)」」


すったもんだの末に俺達は竹馬に乗って、先に足をついた方が負けというルールで勝負をすることになった。

__午後5時41分、竹馬を手に俺らの勝負は始まろうとしていた。







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