願いを叶える天使
少年は占いクジの入ったお菓子を食べていました。
すると奇跡が起こり、お菓子の中から小さな天使が現れました。
天使はこう言います。
「願いが三つ叶う薬をあなたに差し上げましょう」
薬の入った瓶を見て喜ぶ少年に、小さな天使は続けてこう言います。
「一口飲んで願い事を言えば、その願いは叶うでしょう」
渡された瓶の中に入っている液体を見詰めながら、少年は考えました。
最大の恩恵が受けられる願い事を言わなくては。
少年は悩みに悩みます。
なぜなら、叶えたい願いがとっても沢山あったからです。
お金持ちになりたいし、力持ちにもなりたい、ハンサムにも。
死にたくないし、苦労はしたくない、なにより他人に見下されたくない。
そうやって悩んでいるうちに、一日が過ぎてしまいました。
するとどうでしょう、翌日になると瓶の中の薬が減っています。
怒った少年は天使を問いただします。
「説明するのを忘れていました」
「一日経つと、薬は自然に一口分減ります」
とても少年は怒りましたが、文句を言っても薬は増えません。
少年は薬を一口飲むとこう言いました。
「薬の量を元に戻しておくれ」
すると、たちまち願いが叶い、薬は元の量に戻りました。
少年は満足し、願いを何にするか考えながら、また一日を過ごしました。
その翌日、瓶の中の薬はあと一口分しか残っていませんでした。
もう一度、天使を問いただすと。
「申し訳ありません、また説明するのを忘れていました。
薬の願いが叶っているのは一日だけ、その日の太陽が沈むまで、です」
少年は前よりも怒って怒鳴り散らしましたが、それでも元には戻りません。
少年はもっとよく考えて、とても良い案を思いつき、薬を飲みました。
「天使が出てくる前に、時間を戻しておくれ」
時は戻り、天使が出てきた後の全ての出来事が、無かった事になりました。
少年は占いクジの入ったお菓子を食べていました。
すると奇跡が起こり、お菓子の中から小さな天使が現れました。
天使はこう言います。
「願いが三つ叶う薬をあなたに差し上げましょう」