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29光る丘に行きまして・・・

店を出て少し街を見渡したりしているうちにアーネストも店から出てくるのが見えた。

「アーネスト!」

私の呼びかけにキョロキョロと周りを見ていたアーネストは振り返った。

「お、早かったな」

「うん!すぐに決まったからね」

キリッ、とドヤ顔をしてみるとアーネストにぷっ、と吹き出された。解せぬ。


「じゃあ俺からはこれ。いつもありがとな」

「お、おう・・・、あ、じゃあ私からはこれです」

おずおずと差し出す私を見て笑いながらアーネストは私のプレゼントを受け取る。

私もアーネストからプレゼントを受け取って袋を開けた。

・・・わ!綺麗・・・。


中に入っていたのは綺麗な赤を中心として色鮮やかな宝石が散りばめられている髪飾りだった。

私は今までつけていた髪飾りを外して代わりにもらったのをつける。

「どう?」

アーネストは私の問いかけに「うん」と頷いた後に笑った。

「似合ってるよ」


私は自分で聞いたくせにそのセリフに顔が赤くなるのを感じた。

・・・そうだ、忘れてた。アーネストって、アーネストって・・・!イケメンなんだった!!


衝撃的な事実を思い出した私は必死に赤くなった頬を隠した。

イケメンに笑いかけられて「似合ってるよ」なんて言われると照れるわ・・・。

ゴタゴタしすぎてすっかりアーネストのイケメンオーラを忘れてたよ・・・。


私はそんな反応を誤魔化すようにアーネストにプレゼントを開けることを促した。

「おぉ、綺麗だな」

ボソリと呟いたアーネストの声に私はよしっ、と小さくガッツポーズをした。

アーネストにあげたプレゼントはピアスだ。

ただ、左右で長さの違うちょっとシャレオツなピアスにしてみた。

ただ、一つ問題なのが・・・。

「なんか、偶然だけどお揃いみたいになっちゃったね」

私の言葉にアーネストは「たしかに」と呟く。

そう、実は私がアーネストにあげたピアスも色とりどりの宝石が赤い宝石を中心に並べられている上品なもの。

宝石の色とか、雰囲気とか本当にものは違えど私の髪飾りとお揃いなんです、と言われても違和感のない組み合わせだ。

「まぁ、これはこれでなんか面白いな」

なんて言いながらアーネストは早速ピアスをつけていた。


「どう?」

「似合ってます」

「良かった」

ニコッと笑うアーネストはすこぶるかっこよくて目眩がしそうだ。

アーネストが笑うと周囲が色めきたった。

ってかめっちゃどよめいてる。恐るべし、イケメンオーラ。


「あ、そうだ。これから俺が一番行きたかった場所に行くんだけど、今日って何時まで大丈夫?」

「あ〜、そこは安心して。うちお父様いないし、門限とかないから。」

「そっか、じゃあ行こうぜ」

「どこに?」

若干の好奇心とともに尋ねるとアーネストは楽しそうに「内緒」と笑った。


◇◆◇


ただいま、馬車に乗って移動中。


「ねぇ、そろそろ教えてくれてもいいでしょ?もどかしいわ」

っていうか、若干どこに向かってるか心配になってきたんですけど・・・。


「うん?ついてからのお楽しみだよ。もうすぐで着くから。」

アーネストがいつも通りにオカンらしく頭を撫でてくるので私はついそれに絆されてまぁ、いいかと思ってしまった。


それからしばらくしてアーネストが「ついたよ」と言うと同時に馬車が止まった。

「うわぁ、楽しみ」

焦らしに焦らされた私はワクワクとはやる心を抑えて馬車から降りようとするとアーネストに止められた。

「あ、まって。俺が先に降りる。」

アーネストの声で私は少し冷静になった。そうだった、そうだった。この世界では馬車から降りるのは男性が先で先に降りた男性が女性をサポートするんだった・・・。恥ずかち。


私はアーネストが馬車から降りたのを確認して馬車から降りようとする。と、

アーネストに突然視界を塞がれた。

「あ、ちょっと!これじゃあ何も見えないじゃない!」

叫ぶ私をものともせずアーネストはクスクスと笑う。

「まぁ、待てって。この後見せてやるから」

ぐぬぬ、気になる。


不満はあるもののワクワク感があってこれはこれで少し楽しい。

私は覚束無い足取りでアーネストにリードされながら歩いていく。

足元がふかふかしてるから、草原・・・かな?


ふわっ、と吹く風に体を包まれて私は感嘆の息をつく。


なんだか、この風、とっても落ち着く・・・。


そんな風に包まれながらしばらく歩くと頭上でアーネストの「よし」という声が聞こえた。

「もう、いいぞ」

その声とともに私の目から手が外された。

突然の暗闇からの解放に私は驚く。

アーネストに文句の一つでも言ってやろうと前を見たのにそこに広がるのは満天の星空で、前世でも見たことのない星の美しさに私は圧倒されてしまった。

ふわっ、とまたあの心地よい風が柔らかく吹いた。


「綺麗・・・」

思わず漏れた私のつぶやきをしっかりと拾ったアーネストは「だろ?」と得意げに返す。

「うんと暗闇に慣れた目で星空を見ると普段は見えないような小さな星まで見えるんだ」

アーネストの言葉に私はあ、と気づく。


だからここまで目隠しだったのか・・・。

そんなアーネストの気遣いに嬉しく思いながら改めて周りを見渡すとそこは小さな丘だった。

周りには人工物が一切なくてただひたすらに星空と草原が広がっている。

頭上から降りてくる月の光だけが私たちを照らしていた。


「この場所は俺がこの世界に降りてきた場所なんだ」

しばらく二人共無言で景色を見ていると不意に隣にいたアーネストがそう呟いた。

「え?」

「ほら、俺ゲームが始まっても天界で過ごしてただろ?だから本来なら普通にお腹から生まれてくるはずだったんだけどもう時間的にそれは無理だからこの場所から地上に降りてきたんだ。」

「そう、だったんだ」

懐かしそうに目を細めて笑うアーネストは本当に神秘的な美しさだった。

昼は暗闇に溶け込むような黒髪だったのに今は月の光に照らされ、風になびく度その髪はキラキラと輝きを放っているし、ルビーのような綺麗な瞳は暗闇の中でもしっかりと美しさを損なわずにそこにあった。白い陶器のような肌もこの暗闇の中でもしっかりと目視することができ、それこそ人外的な美しさを持つ1人の麗しい男がそこにいた。


そんな男がゆっくりと口を開くのは私は見惚れたまま見ていた。

「俺はさ、正直イリーナがいなかったらこの世界に降りていなかったもしれない。降りていてもここまでの幸せは掴めてなかった」

予想外の言葉に私は目を丸くしてアーネストを見る。

「嘘つけ、って顔してるけど本当のことだからな?お前は俺に救われたっていうけど、俺の方こそお前に救われた。」


茶化そうとしたのに、冗談やめてよ、って笑って流そうとしたのにアーネストがあまりに真剣な顔をして言うから私は何も言葉を発することが出来ずに月明かりに照らされる美しいアーネストをみる。

「俺、今すっげぇ幸せ」

アーネストはそのまま優雅な仕草で跪いて私を見た。

「イリーナ、俺は貴女の事が好きです。どうか私と一生を共にしてくれませんか。出来れば妻として。」


アーネストがそれを言い切るとともに周りが一気に光り始めた。蛍の光のようなその光はいつの間にか少しずつ淡く消えていき、ほのかに周りを照らす位に光が落ち着いた頃、私は草原に起きた変化におどろいた。


さっきまで草原だけしかなかった丘にそこらじゅういっぱいの胡蝶蘭が咲いていた。

「胡蝶蘭の花言葉、知ってる?」

その言葉で私は前世を思い出す。

たまたま読んでいた本の中に出てきた花言葉だった。

なんでもない一文だった。でも私はその花言葉を見て私には程遠いものだな、なんて少し悲しくなってしまったのを覚えている。

そう、胡蝶蘭の花言葉は・・・




「「あなたを愛します」」




アーネストと同時に発した言葉に私は涙を流す。

私だって・・・、今、すごく幸せだ。

これ以上ないくらいの幸せだ。



「アーネスト」

「何?」

アーネストは少し不安げに少し期待したように私を見上げる。

「私、恋というものがよくわからないの。恥ずかしながら前世でも今世でも初恋とやらがまだで」


私の言葉にアーネストの顔が少し強ばった。

「でも、この感情が恋なのか、それは分からないけど、私アーネストのこと大好き。本当に本当に大好き。」

涙をダバダバ流す私はきっと可愛くない。

でもこの涙は止めたくなかった。

そんな私を見てアーネストは戸惑ったようで「えっと?」なんて言って首をかしげている。


「つまりはね」


私は笑った。今までで一番の笑顔に見えるように。

「喜んで」


その言葉を聞いたアーネストの反応は・・・、


皆さんの想像におまかせすることにしますね。

恐らくあと2話程で完結致します、お読みいただきありがとうございます!

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