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25 天界に向かいまして

若干胸糞展開(?)です

「・・・え、天界?」

戸惑うアーネストの肩を掴んで揺さぶる。

「そう!ねぇ、お願いはやく!」

「わ、分かったから揺らすなって」


アーネストは「しっかり掴まれよ」と言って目をつぶる。

後ろでみんなが「天界?」とか「え、は?」とか「何いってんの?」とか聞こえてきたけど今は無視だ!!

・・・後で大変なことになりそう。アーネストに情報操作してもらおうかな。


少しずつ私たちが光に包まれていく。

と、がしっ、とアーネストに掴まっていた私の腕が掴まれた。

「え?」

見るとそこにはニコラスがいた。

おっそろしいほど笑ってる。・・・怖いです。

「ニ、ニコラス、ちょっと離して?」

「嫌です」

「いや、本当に、あの」

「私も行きます。前々から思っていたんですがこの男との間になにか秘密でもあるでしょう?」

笑っているはずのニコラス。・・・え、笑ってるよね?笑って・・・、るはず・・・。


なのに何でそんなに不機嫌そうな声なの?!怖いんですけど?人称俺になった時以来の恐怖なんですけど?!!


何とかニコラスの腕を剥がそうとするけどそんなこと女の私には出来ずにでもアーネストは目をつぶっていて集中しているからこっちの様子には気づかない。

「お、俺もついていく。」

声を上げたのはハルロド様だ。


いやいやいや、違うって!!みんなで行くような場所じゃないよ!?って言うか定員オーバーとかないの?


「じゃあ僕も」

「え、みんないくんですか?」

レイ様もいつの間にか捕まっていて気づけばルイス様も掴まっていた。


あー、もう人数多すぎ・・・。てか後でどうしよう・・・。


そんなことを思いながら光に包まれて移動しようとした瞬間、またもや誰かの声がした。


「おい、お前ら。そんな所でくっついて何してる・・・って、わ!何だかこれ?!」


声の正体を確かめる間もなく私達の体は光で包まれた。



◇◆◇


「・・・ま、っぶしい」

うっすらと目を開けるとそこにはひたすらに白い空間が広がっていて移動に成功したことがわかった。

「・・・ここはどこだ?」

ハルロド様が後ろで呟いた。

・・・ええ。付いてきてしまいましたよ。見事に全員。

最後の声の主、ザハール先生まで。攻略対象達ひとり残らず。

隣のアーネストははぁ、とため息をついた。

「ったく。薄々こうなる気はしてたよ。人数多いと力めっちゃ使うんだかんな。」

「な、なんかごめん」

「・・・ついてきちゃった以上仕方ないけどな。」

また一つため息をついてアーネストは私の頭を乱暴に撫でた。

本当に、オカン、いい人すぎるよ・・・。



・・・じゃなかった。今は一刻を争う。こんなことしてないで早く行かないと。


私はまだ少し眩む目を擦って周りを見る。


いた。


私は目当ての人物に走りよった。

「神様!!」


私の呼びかけに神様は振り返る。目の前のサラ様を睨んでから。


「やぁ。イリーナちゃんなら気づくとは思ってたけど、行動早かったね〜。」

しゃべり方はいつも通りで目の前にサラ様さえいなければ私は普通に挨拶を返していただろう。

「・・・サラ様をどうするつもりですか」

「んー?ちょっとね。」

曖昧に微笑んだ神様はそれ以上は答える気がない、とでも言うように私に背を向けてまたサラ様を見る。


「・・・ひっ!あ、あんた誰なのよ・・・!私の体に何したのよぉぉ!」

不意にサラ様がボロボロと涙を流しながら叫んだ。

「なんで・・・、何でよっ・・・、なんで私の体なのに動かないの?!」


その言葉にサラ様を改めてよく見るとサラ様の身体は確かに座り込んだまま不自然なくらい一切動いていない。

「僕が何者か、か。」


そんなサラ様に神様は普段の様子からは想像もできないくらい冷たい声で呟いた。その声に感情はない。

「僕はこの世の中のあらゆる生命の責任者だ。そしてその生命を平等に管理しなければならない。」

「は、はぁ?!な、な、何いってんのよ、頭おかしいんじゃないの・・・!」

サラ様は泣きながらもまだ威張れる元気はあるようで声を張り上げて叫び出す。

「頭がおかしいのは君の方だろう?」


また冷たい声が聞こえた、と思ったらサラ様が急に呻き声をあげて喚き出した。

「あ、頭が・・・い、いだぁ"ぃぃ!ぐぁ、あ、・・・」


呻き声を上げて涙をボロボロと流すサラ様だが、体だけは何か大きな力に止められているかのように一切動いていなかった。


その光景は思わず顔を背けてしまいたくなるものだ。

「神様!や、やめて下さい!」

「イリーナちゃんは黙ってて。こいつは裁くべき対象だよ。イリーナちゃんにも分かってるだろ?」


なんとか勇気を出して抗議した声もあっさりと切られ、代わりに意味のわからない問いかけが帰ってくる。


・・・確かに私は今日、サラ様を罰するために呼び出した。

でも、神様が言った裁くべき対象って言うのは私のとは意味が違う気がする・・・。


意味がわからなくてひとりどうしようか決めかねていると後ろからアーネストが走ったやってくる。

私の隣に並んだアーネストはその光景を見て一瞬驚いてそしてゆっくりと神様の方に顔を向ける。


「アーネストか。大人数での天界への移動ご苦労さまだったね。」

「・・・まさか、そいつなんですか?前言ってたヤツって。」

「うん。そうだよ。君に教えたら未来が変わっちゃうかもしれないと思って言わなかっけどもう隠す必要も無いから教えてあげるね。前に言ってた罪人はこいつだよ。」

その言葉にアーネストは顔を伏せた。


「・・・ちょっと、どういうこと?意味がわからないんだけど」

アーネストに説明を求めるも神様の方を見たあと固く目をつぶってしまい何も答えない。


「いいよ、アーネスト。無理して教えなくても。僕が教えるから。」

やっと少しだけこっちを向いた神様はそういった。

「・・・いっぺんに説明した方が楽だしあの人たちもここに呼ぶか。」

一人呟いた神様がゆらりと手をかざすと後ろから「うぉ?!」と声がした。


振り向くとそこにいたのは付いてきてしまった5人。


「この5人にも知る権利はあるからね。元々ついてくるって言い出さなくてもここに無理やり連れてくる気だったよ。」


さっきから神様の言っていることがよくわからない。どうしてこの人の声はこんなにも冷たいのか。どうして攻略対象達をここに集めたのか。どうしてサラ様はこんなことになっているのか。何もわからない。


「あ、貴方は・・・?」

恐る恐るハルロド様が神様に問いかけた。

「さっきも言ったでしょ、ってあぁ、さっきはいなかったから聞いてないか。んー、人間が俗に言う神様っていうやつかな。」

「・・・は?」


少し間抜け面になったハルロド様の隣にいるレイ様は神様を鋭い目つきで睨んでいた。

「失礼ながらハルロド様、この人、本当に魔力が膨大で計り知れません。ご警戒を解かぬように。」

恭しくでも警戒はしたままでレイ様はハルロド様に警告する。

「そうか、了解した」

ハルロド様は短く答えた。その後ろにいるザハール先生とルイス様はポカーンと口を開けている。ニコラスはというと素早い動きで私の前にきて私を庇うようにして立っている。


「うん。全員揃ったね。あぁ、そうだ。君達には所々わからない点があるかもしれないけど僕が話終えるまでは口をださないでね。じゃあ話始めよう。」


神様はそこでやっと笑ったけれどその笑みはいつものものとは程遠く、逆に恐怖が湧き出た。



◇◆◇


「まず、この女についてだけどこの女は前世、引きこもりだった。」

その言葉だけでサラ様はぴくっ、と反応する。


「違う!!私は引きこもりなんかじゃないっ!!!社会が私を認めなかったんだ!!無能なのは社会なんだっ!だから私は」

「口を挟むなと言っただろうゴミが」

最早狂っているヒロインを淡々とした口調で遮った神様は何かを唱えた。

すると今までうるさかったヒロインの口が段々チャックのように閉まってゆく。

そして、ついには全てがしまり、空間から音が消えた。


「うん、静かになったね。さて、続きを話そう。この女は引きこもりだったんだが、まぁ別にそれはいい。人にはそれぞれの生き方というものがあるからね。僕はそれを管理するだけであって否定するつもりは無いんだ。僕が人間を否定することがあるとすればそれは人間が自己中心的な考えで殺人を犯した時だ。」

「・・・え」

掠れたその声は私の声なのかはたまた違う誰かのものなのか。


答えは出ないまま話は進む。

「そう。こいつね、前世で殺人を犯したんだ。しかも母親と父親を殺したんだよ?今まで散々お世話になったくせに、ね。」

神様はサラ様に温度のこもらない目を向ける。

恐ろしく冷たい雰囲気の中、全員の体が少し強ばる。

「殺した時もこの女はずっと『私は悪くない』『私は可哀想』って嘆いていた。あまりに境遇ばかり嘆いて挙句の果てに自らの手で命を絶った。そこで僕はそんな憐れな彼女にチャンスをやることにした。それがこの世界にヒロインとして転生することだった。」

恐らく後ろにいる4人と前にいるニコラスには神様が言っていることは分からないだろう。


神様が言っていることを理解できるのは私達だけだ。

それでも誰も口は出さずに神様の話に聞き入っている。

異様な雰囲気が私たちを支配していた。


「少し興味があったんだ。この女はいつも自分が救われないのは、自分が選ばれないのは両親のせいだ、環境のせいだ、世界のせいだ、って恨んでいたから。これ以上ない好条件で生まれ変わったら救われるのか、って。

でも結果は変わらなかったよ。一緒に転生したイリーナちゃんはあんなにも頑張っていたのにね。僕の勘違いのせいでちょっと人格なくなったりしちゃたりもしたのに。」


ふふふ、と笑う神様が、とんでもないことを機械的に話す神様が私は怖くて、それと同時になぜだか可哀想で仕方がなかった。





・・・なんか段々元の雰囲気皆無のシリアスになってきてますね。


いや、一応大大円に向かっております!w

お読みいただきありがとうございました。

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