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転生?生活3日目の朝。



俺が朝起きてまず最初にするのは部屋の窓を開ける事だ。


そうして朝露に濡れた草花を眺めてから、冷たく少し湿り気を含んだ空気を胸一杯に吸い込む。


濡れた草花が放つ少し青臭い香り、その天然の芳香を誰に憚る事なく満喫するのが俺のお気に入りだ。


コンコン…


「…ルーベンス様」


控えめなノックと共に扉の向こうから声が掛かる。


「セバスか。…今日は早いな」


「お寛ぎのところ申し訳ありません。今朝早くに商人からルーベンス様の服が届きましたので、お着替えをなさるなら必要かと思いまして」


!!


もう出来たのか!!


「ありがとう。丁度着替えようと思っていたところなんだ」



聞くところによると、俺が服の殆どを売ってしまったので当面の着替えに困るだろう…と、とりあえず数着を縫い子を総動員して仕上げてくれたのだそうだ。


何て良い人たちだ!


「随分急がせてしまった様だ。追加報酬で何かお礼がしたいんだが、何が良いだろうか?」


「それでしたら、最近王都で人気のお菓子フロマ・カロンが宜しいかと。何でも朝から行列が出来る程人気のお菓子なのだそうです」


「お菓子か…それは良いんだが、俺は今謹慎の身ゆえに外に出られないからな…並ばなければいけないのはちょっと…」


「……………」


ん?セバスの目が真ん丸になってるぞ?セバスがこんな表情するなんて珍しいものを見たな…


「セバス?」


「………ハッ!い、いえ何でもありません。召し使いに買いに行かせますので、わざわざルーベンス様が並ぶ必要は御座いません」


「…そうか、それは助かる。ではついでにこの屋敷の使用人の分も買ってくる様に伝えてくれるか?いつも世話になってるからな」


「……………」


「セバス…?」


「……………畏まりました。その様に伝えます」


セバスは何故かフラフラとした足取りで部屋を出て行った。


……どうしたんだ一体?


俺は訳が分からず首を傾げる。が、すぐに届いた服の方へと意識が移っていった。


届いた服は簡素で落ち着いた仕上がりだが、所々に装飾もしてあって地味になり過ぎてもいないし、実に俺好みでついつい口角が上がってしまう。


他の誰かが今の俺を見たら、訳もなくニヤニヤしていて不審者にしか見えないだろう。






俺はその時、確かに浮かれていたんだと思う。







だから、忘れていた。








俺が、この世界では『嫌われ者』なんだという事を。











朝食の時間にやってきたセバスはいつものセバスに戻っていた。


「服の着心地は如何でしょうか?」


「ああ、何も問題無い。時間もなかったというのにとても良い仕事をしてくれたと思う」


「それはよう御座いました。…ところで、先程旦那様が戻られましてルーベンス様と夕食をご一緒したいとの事です」


「それは願ってもない!是非に、と伝えてもらえるか?」


「…畏まりました」


いよいよマトゥン子爵家当主との初顔合わせか…



一体どんな人物なんだろうなぁ






初会合…さてはて、どうなる事やら。

とりあえず、アルは服が届いてホクホクです。

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