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 う〜む、困ったな。


 この場合どうするのが良いだろうか…?


 此処で大人しく待つか……?


 いや、既に大分待っている気がする…家の者を呼びに行った御者は戻ってくる気配もないし…


 やっぱりこれは……アレか?


『コイツ』が『何か』仕出かしたヤツ関連……


「……」


 …だよなぁ…というか、それ以外ねーよなぁ


 しかしこのまま待つにしても食堂からそのまま来たからコートも羽織って来なかったし、流石にこの時期にコート無しはキツイ。


 ………。


「よし!」


 (作法云々は…どうせ今更それで印象が変わる訳でもないし、もういいか)


 俺は御者が中へ入る時に使った使用人用の入口から中に入ると、表にある正面玄関へと回り込み、徐に声を掛けた。


「すまない。今日から世話になる事になったア…者だが」


 思わず前世の名前を言い掛けて、慌てて言い直す。


 ……しーん……


「こんにちは、誰かいないか?」


 ……しーん……


 チッ…何人か気配はするのに、居留守きめやがって…………っと、いかんいかんここで俺が感情的になっても寧ろ状況が悪化するだけだ。


 う〜む、…ドアでも叩いてみるか…?


 コンコン


「突然の訪問ですまないが」


 ……しーん……


 ドンドン


「誰かいないか〜?」


 ……しーん……


 ガンガンッ!


「今日来る予定の者なんだが〜」


 ……しーん……


「…………」


 全く反応がない。


 (…な、中々しぶといじゃねーかコノヤロー)


「…………クシュッ…」


 む、クシャミ出ちまった。


(……このままだとこの身体じゃ風邪を引きそうだなぁ。う〜む、出来たら早々に中に入れて貰いたいところなんだが…)



 鼻を啜りながらどうしたもんかと考えていると、漸く目の前の扉がギィ…と音を立て動き出した。



 (お?やっと開いたか)



 無意識に服装と姿勢を正す。




 玄関から出てきたのは五十代半ばの柔和な男だった。



「…おや?玄関前に浮浪者が入り込み、やけに煩いと報告があったので来たのですが……公爵家の御方が此方に何の御用でしょうか」


 男は穏やかに、しかし少し困った様子で此方の返答を待っている。



 …白々しい。この気配は確か一番最初からあったぞ



「それは、騒がせてしまってすまない。今日から此方でお世話になる予定の者なのだが、報告は来ていなかったのだろうか…?」


「いえいえ、報告は受けておりますよ。唯…随分と遅かったものですから、何かあったのではないかと我々一同心配しておりました」


 コノヤロウ…


「そうだったか、それは重ねてすまない。無事に着く事が出来たので案内を頼みたいのだが?」


 さっさと中に入れやがれ


「勿論ですとも、さあ中へお入りください。わたくしはこの屋敷で執事長を務めますセバスと申します。何かお困りな事が御座いましたら何でもお申し付け下さいませ」


「ああ、これから色々と世話になる事が出るだろうが、宜しく頼む」



「……………では部屋にご案内致します」



 ふう、とりあえずこれで一息つけそうだ。



 なんというか…まったく。



 この短時間に色々あり過ぎだろ。




『コイツ』がマトゥン子爵家に何をしたか分からないから、今は下手に聞くのは危ないだろう。さりげなく、それと分からない程度に聞き出していくのが最善だな。



 ……………。



 ま、そんな芸当出来ないけどな!



 そういうのは『ウォル』の専門分野だったからなぁ…







「…にしても、40年………か、……まだ…生きてるよな?……………………『ウォル』」


ポツリ…と呟いたその言葉はあまりにも小さかった為、誰の耳にも届く事無く、溶ける様にそのまま消えていった。






アルは周りが余りに敵意を剥き出しにするので、若干心がささくれてます。そして未だに主人公の名前すら出でこないっていう……

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