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 外に馬車が用意してあるというの男の後ろに続いて歩き出し、初めて自分の異変に気づく。


「…………」


 やけに視線が低いのだ。


 自分の両手を軽く持ち上げて見ると、明らかに細くて小さい。


 ……どういうことだ?


「どうしたのです?…今更癇癪を起こしたところで結果は変わりませんよ?」


 立ち止まっている俺に気が付いたのか、男が眉を寄せている。


「………。いや、悪い。もう大丈夫だ」


「…………」


 反論もせず、やたらと素直に従う俺の意図を探ろうとしているのか、しばらく俺の顔をじっと見つめていたが、やがて軽く嘆息すると再び俺に背を向け歩き出す。


 俺も今度は遅れない様に早足で付いて行く。

 足の長さも前とは大分違う様で、軽く駆け足になってしまった。


「はぁ…はぁ…」


 結局馬車までの道のりで俺の息は完全に上がってしまっていた。


「こんなに体力がなくてよく騎士団志望だなんて言えましたね。ああ、公爵家であったならコネだけでなんとかなったんでしたね、ご愁傷様です」


 全く可哀想だとは思ってもいないであろう声色で淡々とイヤミを言ってくる。


 …いや、俺が一番驚いてるよ……何だ?この身体は?


 というか、『コイツ』は誰だ?


 一瞬、過去にでも戻ったのかとも思ったが、俺がこの位の歳には既にある程度身体は出来上がっていたし、手に剣ダコがないのもおかしい。そもそも、此処が俺の過去であるならば見慣れた顔が『陛下』しかいないのも不自然だ。


 …う〜ん、これは思ったよりも厄介そうだ。…とりあえず少しずつでも探っていくか。


「………何とか言ったらどうなんです?…ああ、図星過ぎて何も言えないんですね」


「…なあ。今ってサングリア歴だと何年だ?」


「……………………………は?」


 男は一瞬何を言われたのか理解できなかったらしく、ポカンとしていた。そんな貴族の仮面の取れた今の男の表情は年相応でかわいい…様な気がする。


 にしても、


 んん?異様に驚かれてんだけど。もしかして此処って全然違う世界だったりする?


「え〜と?」


「………………常々貴方の事は馬鹿だとは思ってましたが…まさかここまでとは…」


 あのー…本音がだだ漏れてますよー


「今はサングリア歴286年です。その位は3歳児だって知ってますよ。貴方は一体此処に何しに来てるんですか?」


 286年って事は約40年後か…思った程過ぎてないな。…と言う事は、あの『陛下』は孫か何かか?


「聞いているんですか?…………はぁ、貴方と話していると此方まで頭が悪くなりそうです。とりあえず、さっさとこの馬車に乗って下さい。分かってると思いますが、謹慎中は外出も禁止です。それを破れば今度こそ『退学』だと思って下さい」


「ああ、分かった。一ヶ月は家で大人しくしておくよ。此処まで案内してくれてありがとな」


「………………。…貴方が何を企んでいるかは知りませんが、今更何をしたところで無駄ですよ。一ヶ月と言わず一生大人しくしておいて下さい」



 へいへい、手厳しい事で。










 こうして、俺は晴れて謹慎という名の一ヶ月の監禁生活をスタートする事となった。








漸く主人公の現在の姿が少し出てきましたね。


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