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セバス大活躍ですね(^^)
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痛みも、苦しみも、吐き気も、怠さも、
何もない。
その事に気づき、ああ……『アレ』が完成したのか。と、どこか他人事の様に思う。
子爵が何か言っているが、この毒は子爵がやったのではないだろう。
『予定』が大分狂ってしまったが、間に合うだろうか…?
『アレ』が完成したという事は、もうあまり時間がない。
今度は徐々に身体全体の感覚が消えていくのだろう。
……既に視覚は無くなってきている。
こうやって少しづつ『感覚』を奪われていくのは『知って』いても恐ろしい。
セバス……
今この世界において一番信用の置ける人物の名を呼ぶ。
セバス……
早く来い………
セバスがいなければ、『俺』は此処で死ぬ事になるだろう……勿論子爵も。
セバス…
「ルーベンス様!!」
ああ…
漸く、待ち侘びてた声が自分の耳に届く。
「セ…バス。…ゴホッ…」
まだ、声も…出せる。
「ルーベンス様!今医者を…医者を呼びますので…!」
セバスは俺が吐いた血で窒息しない様に、身体を横に向けて必死に声を掛けてくる。
「セバス…いい…」
「なっ…ッ貴方は何を言っているのですか!!」
「違…う…医者は…呼ぶな。俺はもう…死なない」
死なないという俺の言葉に、はっ…と俺の顔を見る。
「ど…ういう、事でしょうか…?」
俺はその問いに答えず、代わりに子爵に向かって告げる。
「子爵…『獅子の悲劇』を知っているか…?」
「そ、それは知っているが、それが何の…………まさか」
「そうだ。……これが『黒の試練』だ……」
「……そ…んな…私は…私は…此処で死ぬのか…?」
「今からのは…大丈夫だろう……だが、『次』は確実に…殺しに来る、だろうな…」
「…ああッそんな…何故…もう何十年も試練を受けた者はいなかったのに…」
混乱する子爵に、爵位を返上すれば大丈夫。と言おうとして上手く口が動かない事に気づく。
ああ…身体が上手く動かない…耳もその内に聞こえなくなる。
急がないと。
「セバス」
後の事はセバスがいなければ何ともならない。
「お任せください」
打てば響く様な返事。
まだ何も言っていないのに全てに応えようとしてくれる。けどだからこそ、安心して任せられる。
「ふ……頼りに、している。…今から来る奴は…出来るだけ、殺すな。…出来るか?」
「問題ありません」
「後は…頼んだ」
「はい…ルーベンス様、本当に毒は大丈夫なのですか…?」
「ああ…『全部』飲んだから…な」
「そう、ですか。死なないのなら、いいのです。後はお任せください」
「ああ…」
そう言った後、俺は安心して意識を手離した。