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ちょっとシリアス回です

 




 運ばれてきた食事を見て、僅かに顔をしかめる。何故ならば…




 毒……………?




 料理の匂いに混じる微かな刺激臭。確かこの臭いは麻痺毒だったか…?


 何にしろこれは一体どういう事だ…?


 今までの食事に毒が混じる事はなかった。つまり、考えられるのは二つ。

 当主が何者かに狙われているか、俺の食事に当主が指示して毒を入れさせたか。


 毒の量的には微々たるものだ。人が死ぬ様な事は無い。

 ただ…


 苦しくて

 怠くて

 痺れるくらいだ。


 当主を狙うものだとしたら、あまりに意味の無いものだろう。


 これは寧ろ嫌がらせの類だろう。


 つまり、これは俺を狙ったもの。


「どうかしたのかね?公爵家の料理に比べたら拙い料理かもしれないが、ウチの料理人が頑張って作ってくれたものだ。是非残さず食べてくれたまえ」


 はぁ………

 

 この人は本当に貴族だろうか…?そんなに分かり易い言動で毒を飲んでくれる貴族はいないぞ。

 そもそも毒を温かいスープに入れるなど、気づいてくれと言っている様なものだ。


 今まで……人を陥れた事など、ないんだろう。

『コイツ』や『俺』と違って。


 ここでこの料理に毒が入っている事を開示するのは容易い。しかし、排籍されたとはいえ元公爵長子である俺に毒を盛った事が明るみに出れば、マトゥン子爵家など簡単に取り潰される事だろう。




 それに…






 今、俺は猛烈に怒りを感じている。







 誰に?






『コイツ』に?










 こんなに平和に生きてきた人を、




 愛に溢れているのだろうこの人を、




『復讐者』にしてしまった。





『コイツ』と『俺』は全く違って、すごく似ているのかもしれない…。





『俺たち』は簡単に人を不幸にする。









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