↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/25

うまく言えないが、とにかくヤバい。(5)

 遥《はるか》は、見知らぬ女子学生と話をしているようだった。

 近づいてコッソリ聞く。


「知り合い?」

「知らない人」


 じゃあなんで立ち話? と聞く前に、女子学生が怒り出す。


「ちょっと! 月城《つきしろ》様に近づかないでくれます?」


 女子学生が遥《はるか》に飛びかかりそうになるのを、慌てて間に入って止める。

 女子学生のリボンの色を確認する。どうやら一つ先輩のようだ。


「ちょ、先輩。落ち着いてください」

「貴方まで! このような半端な輩《やから》と居ては、月城《つきしろ》の名が泣きますわ!」


 こちらにまで怒り出した。なんというか、ずいぶん思い込みの激しい人のようだ。

 訂正しようと口を開いたところで、遥《はるか》が俺の前に出てきて喋りだす。


「ハーイ、スミマセーン。おうちの話は事務所的にNGでーす。翼《つばさ》さん、捌《は》けますンで通してクダサーイ」

「変なこと言って誤魔化《ごまか》さないでくださいまし!」

「えー」


 遥《はるか》がわざとらしく口をとがらせてぼやく。

 女子学生は腰に手を当て叫ぶ。


「そもそも、貴女。上級生に対して失礼ではありませんのっ?」

「名乗りもしない、礼を欠いた人に与える敬意は持ち合わせてないの」


 先ほどまでとは打って変わって冷淡な声で即答した遥《はるか》に、女子学生は言い淀みつつも、ビシッと指差し叫んだ。


「っ! わたくしのことを知らないとは、やはり所詮は余所者《よそもの》ですわね。わたくしは青谷木《あおやぎ》 千晴《ちはる》。瀬野《せの》 遥《はるか》さん、貴女に決闘を申し込みますわ!」

「だがことわる!」


 キメ顔で即答する遥《はるか》に千晴《ちはる》が憤《いきどお》る。


「なぜ!?」

「いやぁ、それ私受けてもメリットないしィ」


 遥《はるか》が肩をすくめて応えると、千晴《ちはる》は腕を組んで言い返してきた。


「あら、逃げるんですの?」

「やっても無駄な争いはしないよー」

「っ、そんなのやってもなくては分かりませんわ! 貴女、勝つ自信がないからそうおっしゃるんでしょう?」


 千晴《ちはる》の言葉に、遥《はるか》はニヤリと笑って、


「いいよ。じゃあやってみようか。誰かー代理人ー」


 と少し大きめの声を出して手を上げ周りを見渡す。

 すると、


「あんたまた喧嘩吹っ掛けられてるわけ?」


 遥《はるか》よりも更に小柄な、勝ち気な目に黒い長髪の少女が話しかけてくる。

 高等部の生徒会長、鳥鐘《とりかね》 光《ひかる》だ。


「わぁ、会長。ちょうどいいところに」

「喧嘩ではありませんわ! 粛清です」

「粛清は政治的な表現よ。口を慎みなさい」


 口を挟む千晴《ちはる》に、光《ひかる》がぴしゃりと返す。


「私では身内になってしまうから、生徒会から誰か出しましょう」


 光《ひかる》はそう言って、後ろに控えていた大男、副会長の緑蓮《ろくれん》 高志《たかし》に生徒会メンバーと連絡を取るように言いつける。

 決行は今日の午後ということになった。


 千晴《ちはる》が睨んで去っていったのを見送って教室に戻る。


「瀬野《せの》ぉぉぉ~!!」


 今年も担任になってしまった青《あお》谷木《やぎ》が、既に話を聞きつけていたらしく、怒り心頭だった。


「わっ、先生」

「お前! 反省文と報告書がまだだろうが! そっちが先だボケェ!」

「いや! そっち片づけたらちゃんと出しに行きますからぁ。ご勘弁をォ~」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。