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【超番外編】AIは魔術学園ラブコメの夢を見るか?

結論:夢は見せてくれた。

 一先ず名乗りから始める。


月城(つきしろ)(つばさ)です」

瀬野(せの)(はるか)です。(つばさ)くん、どうしたんだい改まって」

「更新が滞っている」

「知っているゾ」

「そこで原作元締めを名乗る北西(きたにし)時雨(じう)氏は考えた。本文をAIが生成すれば、もっと早く作品になるのではないかと」

「青いロボットを居候させている小学生のような発想だな」

「早速『AIのべりすと』というサービスに会員登録して、以下の文を入力した」



-----------


 彼女はヤバイ。何がどうヤバイかと説明できないくらいにヤバイ。

 だが、それでは一ミリも伝わらないのはわかっているので、順不同になってもとにかく書き記していこうと思う。


 とりあえず、俺の話。

 名前、月城 翼(つきしろ つばさ)。この春休みが終えたら高等部の一年になる。今は寮生活で、ルームメイトは先程生徒会に呼び出されて外出中。つまり、部屋には俺一人。

 で、ここで学校の話をしておかなければいけない。俺の通う学校、硝鍵(しょうけん)学院は、表向きは音楽系の学校を装っているが、所謂“魔術”を学ぶ学校なのだ。魔術の説明は追々するけど、ともかく俺達学生やその卒業生は、科学的な仕掛け以外で火を出したり風をふかせたりできると思っておいて欲しい。


 前置き終了。彼女の話だ。

 名前、瀬野(せの) (はるか)。俺と同じ学校に通う同学年。彼女は、この「彼女」というのは、三人称単数のSheではなく、loverという意味で、つまり俺たちは付き合ってる。公然の事実で後ろ暗いところは何もない。

 しかし、それも時間の問題になってきた。


 彼女が、俺の部屋の外、窓に貼り付いている。


-----------



本作(こいつ)の第一話だな」

「そして続きを生成した。下記に記すが、北西(きたにし)氏が調子こいて増やしたから長くなった。終わったら『以上だ』とつけるので、苦しくなった人はそこまで飛ばしてほしい」



-----------


「……」

俺は自分の頬を思い切りつねってみた。痛い。夢じゃない。現実である。

「……なんなんだよあいつ!」

俺は思わず声を上げた。

だってそうだろう? 人が一人で静かに読書をしているところに突然現れて、「死ね」とか言い出すんだぞ!? しかも、相手は女の子! 普通ならときめくシチュエーションかもしれないけれど、そんな気にはなれない。むしろ恐怖を覚えるレベルだった。

それでも、無視し続けるわけにもいかないから、仕方なく本を置いて玄関に向かった。

ドアを開けると、そこにはやはりあの女がいた。

瀬野遥―――俺の彼女だ。

彼女はいつものように黒い髪を風に揺らし、まるでそこに生えているかのように立っていた。その顔は不機嫌そのものといった感じだったが、目が合うと途端に笑顔になった。

「こんにちは翼くん♪」

「……えーっと、何?」「うん。ちょっとお願いがあって来たんだけど」

「断らせていただきます」

言うだけ言って扉を閉めようとしたのだが、足を挟まれてしまった。なんて力だ……

「わかったよ聞くよ聞けばいいんだろ!」

俺は半ばやけくそ気味に叫んだ。すると、彼女は満足そうな笑みを浮かべた。

「じゃあ、さっそくだけど、私とデートしてくれないかな?」

「嫌です」

即答した。

「どうして? 私がこんな美少女だから?」

自分で自分を美少女と言うか……まぁ確かに美人ではあると思うけど。

「お前、今日が何日かわかっているのか?」

「3月14日でしょ? ホワイトデーだよ。知ってる」

「ああそうだ。バレンタインデーのお返しをする日に決まっているじゃないか。なのになぜ俺がお前に何か返さなければならないんだ」

「あら、別にお返しを期待しているわけではないわよ」

「じゃあ一体何を期待しているというのだ」

「う~ん……愛?」

こいつふざけてるのか?

「とにかく駄目なものは駄目なんだ」

俺は強引に会話を打ち切ろうとしたが、それは叶わなかった。

「……どうしても、だめ?」

上目遣いでこちらを見つめてくる。…………ぐはッ!! 俺の心臓が鷲掴みされたように激しく高鳴った。

こいつは自分が可愛いことを自覚している。だからこその行動なのだろうが、こういうことされると本当に困るんだよなぁ……

「ねぇ、ほんとうにダメ?」

「…………」

無言で視線を外す。すると、彼女は諦めてくれたようで、「残念ね」と言いながら去っていった。

ふう、これで一安心。

そう思った直後、部屋の隅に置いてあった電話が鳴り始めた。


-----------



「以上だ」

「感想言っていい?」

「どうぞ」

「思ったよりちゃんとしてる……。けど、なんだ……この……ノリは合ってるのに微妙に別人感はなんだ」

「分からん。キャラ設定だけはちょっと入れたらしい」

「だいたいホワイトデーって! 入学式直前の話だったでしょ!!」

「それは入力してないからしょうがない」

「自動生成コワー……。ドッペルゲンガーに出くわした気分ダゼ」

「『もうちょっと色々インプットさせた方がいいかもしれない……』とか北西(きたにし)氏は言っていたな」

「えぇー……。そういう問題なのかな……?」


 (はるか)が首をかしげながら、「AIのべりすと」さんのページを調べていじってから、口を開く。


「致命的なこと言っていい?」

「なんでしょう」

「AIさん、話の締め方、知ってる?」

「……さぁ?」


 俺も揃って首をかしげる。(はるか)がにっこり笑って、俺の肩を叩く。


(つばさ)クン。自分の作品は、自分で書かないといけない時代なのですヨ。()だネ」

「ヘイ」


 終われ―――――(顔文字は自粛しました)


結論:夢だった。

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