星の子
Prolog
目が覚めれば、そこは渇いた大地が地平線まで続いているような、虚しいところだった。フラフラと立ち上がり、深く被っていたフードを外す。見上げれば灰色の空が静かに流れていた。音もなく、生き物も見当たらない。ただただ静かでゆっくりと時を刻むこの場所は一体どこであろうと、朧気な記憶を辿っていく。しかし暫く考えても、何も思い出せない。そして自分が立っている場所だけではなく、名前や、生い立ちさえ分からないことに気づいた。だが不思議と焦りや不安は感じず、取り敢えず前に進まなければないらないと、そう思った。誰かにそう言われた訳ではないのだが、体はもう自然と動き始めていた。どくれらい眠っていたのだろうか。無理やり起こされた体は痺れ、あちこちに痛みが走った。苦しみに少々悶えながらも、そこには生きている実感がある。
「・・・・っ」
嗚咽が漏れ、産まれたての小鹿のようによろけ、体勢を崩しかけても、1歩ずつ確実に踏み出す。まずは歩きを方を思い出そう。思い出すというよりかは、覚える、だろうか。そうして、次はどうしようか。頭が上手く働かない。前へ、前へ....