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Vision  作者: 神 雪
3/7

Game

『さあ、ゲームを始めよう』




 私は白い空間に立っていた。壁も天井も床さえも白く、照明など見当たらないのに決して暗くはなく、かといって眩しい程でもない。

 奥行きがどのくらいあるのかはわからないが、幅はかなりあるように見える。


 その空間には、縦横無尽に白い壁の様なものがあり、どうやら迷路になっているらしい。

 ただし、その白い壁には黒い文字が書かれている。

 ここから見える限りでは、その文字を読めない。いや、書かれているのは平仮名と片仮名と漢字とローマ字だから、文字そのものは読めるのだ。しかしまるで規則性がないらしい。平仮名の<を>の隣にローマ字の<K>があったりする。しかも文字は規則正しく並んでいるのではなく、壁の中を泳ぐかの如く上下左右に動いているのだ。



 ──どうしてこんな事態になっているんだろう?



 立ち尽くしている私に、無情なベルの音が響く。ジリリリリという大昔の電車の発車ベルに似たその音に、追われる様に私は走り出す。



「捜さなくちゃ」


「見つけなくちゃ」



 私は白い迷路を右往左往する。聞こえるのはコチコチという秒針の音と私の荒い呼吸音のみ。

 滴る汗もそのままに、私は壁の文字を睨みつけながら走っている。

 どうやら壁にある文字を組み合わせて言葉を作らねばならないらしい。



「これだ!」と思う文字に触るも、その文字は黒から赤へと変化してそうして消えてしまう。


 また間違えたらしい。まだ一つも見つけていない。



 コチコチコチ……。



 聞こえて来る秒針の音が、私を更に追い詰める。



 コチコチコチ……。




 ──一体いつまで捜せばいいの?



 ──そして、その言葉とは一体何なの?



 ──私はここから出られるの?




 半ば悲鳴を上げながら、私は白い迷路を走っている。

 捜して走っている。


 



 白い空間の何処かから、誰かの笑い声が聞こえた気がした。

まるで白昼悪夢の様なVision。

我に返ってから、物凄くホッとしたのを覚えています。

どうしてこんな映像を見たのかは……ご想像にお任せします(笑)

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