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MAIN TRAFFIC4  作者: 浜北の「ひかり」
Hikari Episode:3
94/102

455列車 テスト前

「ああ、来週はテストかぁ・・・。」

智萌(ともえ)はそう言いながら、大きくため息をついた。

(ひかり)は良いよね。テストには苦労しない人たちで。」

「あのなぁ・・・。」

ウチはあきれた。ウチだってテストに困っていないわけじゃ無いんだぞ。岩槻高校に受かるだけの学力を付けなきゃいけないウチからしてみれば、学校のテストで苦戦しているようじゃダメだと思っているんだけど・・・。

「とにかく、これからしっかり勉強しろよ。智萌(ともえ)。部活も引退したんだからさ。」

「あっ、ちょっと・・・。」

ユサがウチのことを止めようとしたけど・・・。あっ・・・。

「そうよ・・・。引退したわよ。試合に負けて・・・。」

「まだ引きずってたんだ・・・。」

ああ、智萌(ともえ)が引きずっているのは卓球の地区大会のこと。去年は勝ち進んだんだけど、今年は相手が悪くて実力発揮できずに終わったらしい。結果は1セットも取れずに初戦敗退。さんざんたる結果だったからなぁ・・・。あっ、因みに相手は全国大会にも行ったことがある中学の実力者だったらしい。

「いい加減忘れろよ・・・。今回テストで転ぶと高校受験にも響くんだぞ。」

「そう簡単に忘れられるか・・・。あの散々な試合・・・。」

「・・・。」

「重傷ね。」

「そうだな・・・。」

とは言ってもなぁ・・・。ウチは試合に負けるのは悔しいけど、結果が散々でもあんまり気にしないからな・・・。だから、智萌(ともえ)の気持ちを共有することはおそらくできないだろうなぁ・・・。でも、ちょっと元気づけてやろうかな・・・。

「ところで。」

さっきの声の低さはどこに行った・・・。

「あさひちゃん、最近私達と一緒に帰ること無いよね。どうかしたの。」

「そういえば、そうだね。別に体調が悪いとかそう言うわけでも無いでしょ。普通に学校に来てるんだし。」

「ああ。それ。それはねぇ・・・。」

ユサがそう言いかけると、ウチらを自転車が抜いていった。

(かがやき)ッ。」

ユサはそう言い、今通り過ぎた自転車を呼び止める。(かがやき)があの自転車こいでたのか。ユサって目が良いなぁ。

「なっ・・・何。ビックリするな。」

自転車が止まるとかが焼きは振り返りながら、いった。そりゃ、大きな声で呼び止められたんだもんな。誰でもビックリするよ。

「紹介するわ。」

「えっ、今更紹介なんてしなくても・・・。」

「祖・・・そうだよ。僕は小学校の時から君たちのこと知ってるんだよ。今更、永島君たちに紹介することがあるわけ・・・。」

「あさひちゃんの彼氏よ。」

「へぇ、そうなんだ。」

とウチ。

「マジッ。」

智萌(ともえ)

「そっ、それどこでッ。」

(かがやき)

「私達の情報ネットワークなめるんじゃ無いわよ。(かがやき)君とあさひちゃんがつきあってるのはとおの昔にバレてるんだから。」

(かがやき)の顔が見る見ると赤くなる。彼氏っていうこともモズとつきあっているってことも今初めてバレてるってこと知ったんだろうなぁ。

「あんまり変な噂広めないでよ。僕はモズとつきあってるわけじゃ無いんだけど・・・。まして彼氏って・・・。」

「でも、彼氏っていわれてなんか嬉しそう。」

「・・・。」

智萌(ともえ)にそう言われ、(かがやき)も黙った。

「ていうか、さっきから大人しすぎやしない。」

ユサがウチに言う。

(かがやき)がモズとつきあってるから何。何度も言うけどさ、ウチはモズのこと好きでも嫌いでも無いんだけど。」

ウチがそう言うと、

「そんなわけ無いでしょ。好きな女の子に・・・。」

由佐(ゆさ)ちゃん。その話はそこまで。」

ユサが言う言葉に智萌(ともえ)が重ねてくる。普段なら、ここから複雑な方向に持っていきそうな所だけど・・・。

(ひかり)君が「興味が無い」っていうのは本当なんだな・・・。改めて分かったよ・・・。)

 しかし、複雑な方向に持っていきたいスイッチは入ってしまったようだ。ウチにじゃなくて、(かがやき)のほうに。

「ところで、(かがやき)君。いつからあさひちゃんとつきあってるのかな。ねぇ、今どこまで行ってるの。ねぇ、教えてくれたって良いでしょ。」

「・・・あっ・・・。えっと・・・。」

「私達の情報ネットワークを以下略・・・。」

「ぼ・・・僕勉強しないとダメだから。そろそろ行くね。」

そう言う(かがやき)の自転車をユサと智萌(ともえ)は捕まえ、

「勉強を理由に逃げるな。」

「ちゃんと私達の親友であるあさひちゃんとどういうつきあいしてるのか聞く権利があるに決まってるでしょ。」

「・・・離してやれよ・・・。」

「ちょっと、越後(えちご)さん、智萌(ともえ)さん危ないよ。」

「勉強つったって、いい高校行くわけじゃ無いだろ。」

「聞いてないし・・・。」

「いい高校じゃ無いって・・・。さらっと酷いこというね・・・。僕が行く高校はたぶん二人が思っている高校よりは学力良いよ。勉強しないと僕なんか合格できないよ。」

「またまた、そんなこといっちゃって。」

「さぁ、はけ。はいちゃえ。」

「おい。」

「ごめんなさい。」

(ひかり)君、顔怖い。」

(ひかり)君・・・そんな怖い顔して怒らないであげて。僕は気にしてないから。」

「・・・そう・・・。」

(かがやき)がそう言ったので、ウチもお怒りモード終了。

「ああ、怖かった・・・。」

「ねっ。(ひかり)って怒ると本当に怖いのよ。」

そう言うユサと智萌(ともえ)の会話を聞きながら、ウチは(かがやき)に話しかけた。

「ごめんなさい。(かがやき)智萌(ともえ)が迷惑かけて。」

「えっ、悪いのは私だけっ。」

「アハハ・・・。僕も(ひかり)君の怒った顔は初めて見たかな・・・。あんまりそんな顔しない方が良いと思うよ。さっきもいったけど、僕は気にしてないからもう許してあげてよ。」

(かがやき)がいう。

「・・・。」

「そうそう。中百舌鳥(なかもず)さんから聞いてるんだけど、(ひかり)君って東京の高校に行くんだよね。」

「えっ、うん。」

「頑張ってよ。僕は東京には行かないけど、おんなじような高校に行くつもりだから。」

「おんなじような高校・・・。大阪にそう言うの・・・。」

「大阪産業大学附属高校って聞いたことあるかな。」

今、ウチの頭の中にその高校の名前は出てこない。「知ってるよ。」と答えると、

「なら、どういう高校かも知ってるよね。」

(かがやき)はそう続ける。確かに、ウチもその高校の中身も知っている。

「てことは(かがやき)も大変な高校生活が待ってるのかな。」

「合格すればね。」

「・・・そりゃそうか。」

 その後「さよなら」と言い合い、(かがやき)は自転車をこいで家路を急ぎ始める。

(ウチも負けてられないな・・・。)


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