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MAIN TRAFFIC4  作者: 浜北の「ひかり」
Hikari Episode:3
89/102

450列車 変わってた輝

 俺は自転車をこいでいた。目的地はJR総持寺(ジェイアールそうじじ)駅だ。カメラを持ってその駅まで行くのだ。

あたりは夏の日差しが強く照りつけている。暑くなっているところは空気も揺らめいている。守山(もりやま)の駅に着く頃にはすっかり汗まみれになっている。

「ハァ・・・。暑い・・・。」

そう言い、守山(もりやま)駅にあるコンビニに駆け込み、そこで水を買った。キンキンに冷えた水を買うなりすぐに体に流し込んだ。500ミリリットルのペットボトルに入った水は半分くらいに減っている。

「ヨシッ、行くか。」

俺は財布を取り出した。この中にはICOCAも入っている。そして、このコンビニには東海道本線(とうかいどうほんせん)の上りホームに通じるIC乗車券専用の自動改札機もあるのだ。そこを通ってホームへと上がる。JR総持寺(ジェイアールそうじじ)に行くには2番線に行かなければならない。コンビニの自動改札を通って上がれるホームは1番線であるため、階段を使っていったん上に上がり、2番線ホームに行く必要がある。これだけは面倒くさいが仕方ない。

 階段を上がって、2番線ホームに行こうとした時、

「あれ、長宗我部(ちょうそがべ)君。」

俺を呼び止める声がした。

(かがやき)・・・。」

顔を上げるなり、その人の名前を呼んだ。中学校でよく見かけるけど、こういう所で見かけたのは初めてだ。

「どっかに電車でも撮りに行くのかな。」

(かがやき)はそう聞いてきたが、さっきから気になることがあるんだよなぁ・・・。

「ああ、そのつもりだけど。ていうか、何でお前制服着てるんだ。」

気になることはこれだ。せっかく休みなんだから制服着る必要はどこにも無いだろうに・・・。

「ああ、これ。これから学校説明会だよ、天都(てんと)高校の。」

天都(てんと)・・・。」

「うん。」

(かがやき)は笑顔で言ったけど、そんな笑顔で行けるような高校じゃない気がするんだけどなぁ・・・。天都(てんと)なんて頭のいい奴が行くような高校だろ。天都(てんと)高校は俺が塾の統一テストで行く高校の候補として上げた高校の一つである。しかし、今まで出た判定はどれも合格圏内には入っていない。テストについては点数が伸びているが、天都(てんと)高校って言うのはそういうところなのだ。

長宗我部(ちょうそがべ)君って次の新快速(しんかいそく)乗る。」

(かがやき)がそう聞いたので、俺も後ろの電光掲示板を見た。時間は8時00分を指している。そして、次に大阪方面に向かっていくのは8時01分発新快速(しんかいそく)姫路(ひめじ)行きだ。

「ああ。乗る。」

そう言うと俺は2番線ホームへと急いだ。(かがやき)もそれにつられるかのように急ぐ。ホームに降りるとちょうど225系新快速(しんかいそく)が入線し、ドアを開けたところだった。休日の8時台最初の列車であるためかホームにはこれから仕事だと思われる人が多い。俺とかが焼きはドアが開いていて、人の乗降がほとんど無い扉から車内に入った。

「フォホホホホホ。」

JR西日本車両独特のブレーキ管かイオンだ。その音が聞こえなくなったと思う頃、225系はホームを離れ始める。

「225系にしては珍しいね。」

「次は草津(くさつ)草津(くさつ)です。草津(くさつ)を出ますと次は南草津(みなみくさつ)に止まります。The() next(ネクスト) stop(ストップ) is(イズ) Kusatsu(クサツ),Kusatsu(クサツ).After(アフター) Leaving(リービング) Kusatsu(クサツ) will(ウィル) be(ビー) stopping(ストッピング) at(アット) Minami(ミナミ)-Kusatsu(クサツ).」

自動放送が流れ終わってから、

「ああ、そうだな。0番台だから、225系の中でも結構な初期車だな。・・・って。(かがやき)ってこういうの詳しいのか。」

俺はそっちの方が驚きだぞ。

「僕は鉄道結構好きだよ。」

「そうなんだ。知らなかった。」

「ああ。でも、好きって言っても最近までほとんど知らなかったんだけどね。」

「あっ、そうなの。」

俺や光と違って鉄道小さい時から好きでおってる人とは違うんだな。でも、鉄道に目覚めるのってほとんど小さい時だと思うんだよな・・・。何で好きになったとかそう言う理屈は言えないんだけどね。

 新快速(しんかいそく)はぐんぐんとスピードを上げて、栗東(りっとう)駅を通過する。

「そういえば、天都(てんと)に行くって事は大阪まで乗ってくのか。」

「うん。でも、本当は行きたくないんだよね。」

「だったら行かなきゃいいじゃん。」

「でも、そう言うわけにも行かないんだよね。お母さんもさすがに進学を1校に絞るのはやめなさいって言ってたからね。だから、天都(てんと)選んだんだけどね。」

「それで選ぶような高校じゃないと俺は思うけどな。」

「・・・そうだろうね。」

「なぁ、一つ聞くけどさ。(かがやき)って第一志望どこなんだよ。」

「大阪産業大学付属って所だよ。」

「へぇ・・・。第一志望も大阪なんだな・・・。」

その後はあんまり会話がないまま高槻(たかつき)まで来た。

総持寺(そうじじ)に行くなら、ここで普通に乗り換えないとね。」

(かがやき)がそう言った。

「ああ。じゃ、また学校で。」

「うん。また学校で会おうね。長宗我部(ちょうそがべ)君。」

新快速(しんかいそく)から降りる。しばらくしてホームの上からロープが下がり、ドアが閉まる。そして、新快速(しんかいそく)は甲高いモーター音を奏でて高槻(たかつき)を出発していく。走り去る新快速(しんかいそく)を最後まで見送り、俺はちょっと早足で改札口へと急いだ。

(何してるんだ。俺は・・・。)

高槻(たかつき)を8時46分に出発する新快速(しんかいそく)近江塩津(おうみしおつ)行きは1番線ホームから出発する。


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