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MAIN TRAFFIC4  作者: 浜北の「ひかり」
Hikari Episode:3
73/102

434列車 春の嵐

 数日後、

「えっ、(ひかり)東京(とうきょう)行くって。」

鳥峨家(とりがけ)は驚いたように声を上げた。

東京(とうきょう)ってすげぇなぁ・・・。」

沙留(さるる)も驚いている。

「うん、東京(とうきょう)行くんだって。岩槻高校って言う高校にさ。」

「ふーん。じゃあ、尻労はたからないとなぁ。」

そんなことを言いながら鳥峨家(とりがけ)は笑った。

「それは鳥峨家(とりがけ)も同じでしょ。4人も子供がいるんだから、しっかり働かないとなぁ。」

沙留(さるる)が返す。

「分かってるって。」

そういった頃、外からは雨の音が響き始めてきた。音はだんだんと強くなっていき、雨脚が強まってきていることが部屋の中にいながらもよく分かった。

「ゲッ・・・。」

「雨降ってきちゃったなぁ・・・。」

「嘘だろ。今日雨降る予報だったっけ・・・。」

「ああ、今日は天気予報見てなかったなぁ・・・。」

「二人とも傘もってる。」

沙留(さるる)が聞いてきた。

「もってないなぁ・・・。」

「僕は(もえ)に電話して迎えに来て貰っちゃうよ。」

鳥峨家(とりがけ)、僕の順番でそれに答えた。

「いいなぁ。家が近くてラブラブな人は・・・。でも、それは鳥峨家(とりがけ)にも言えることだよなぁ。(あずさ)ちゃんは迎えに来てくれないのか。」

「・・・あっ・・・ああ、(あずさ)ちゃん今日は忙しいだろうからなぁ・・・。」

鳥峨家(とりがけ)の言い方から沙留(さるる)は何か察したようだ。

「また(あずさ)ちゃんと喧嘩したのか・・・。お前のところも喧嘩が絶えないねぇ。」

「またってなぁ・・・。最近は喧嘩してなかったんだけどなぁ。昨日梓(あずさ)ちゃんのこと怒らせちゃってさぁ・・・。全く、些細なことなんだからそんなに怒らなくてもいいじゃんなぁ。」

いや、そんなこと言われてもどういう無いようで喧嘩したのか僕たちは分からないから同意を求められてもなぁ・・・。

「ちゃんと仲直りしろよ。いつものことだから問題ないだろうけど。」

沙留(さるる)はそう言うと傘を持ち出して詰め所の出口に向かった。

「んじゃ、後頼むわ。お疲れ様。」

「お疲れ様。」

「お疲れ様ぁ。」

 沙留(さるる)が出ると詰め所の中は二人だけになった。しばらく経つ友江から詰め所前に着いたという電話があり、僕は詰め所を出た。鳥峨家(とりがけ)もやることが終わったのかすぐに詰め所を出てくる。外では強烈に降る雨が出迎えてくれた。さながら春の嵐という感じだ。

「ナガシィ・・・。」

そう言いながら、(もえ)がレヴォちゃんから走ってきた。(もえ)の肩は雨で濡れているし、ズボンの裾も湿っている。傘もあまり役には立ってないようだ。

「お待たせ。あっ、ちょうど大希(だいき)君も一緒だったんだ。」

「うん、ちょうどね。」

ちらっと(もえ)の後ろを見るともう一つの傘を差して、立っている人がいる。

(あずさ)ちゃん。」

「お仕事お疲れ様。」

「あっ、(あずさ)ちゃん。」

「何、早く帰るわよ。あっ、言っとくけどご飯はないからね。」

相当怒ってるみたいだ。一体なんて言って(あずさ)ちゃんのこと怒らしたんだろうなぁ・・・。

(もえ)(あずさ)ちゃんなんで怒ってるのか知ってるの。」

「知ってるよ。まぁ、ナガシィも私に言うことあるけどね。」

「えっ。」

「あっ、ごめん、意識無かったわね。うん。」

(あずさ)ちゃん、頼むよ。機嫌直してくれよ。」

「フン。」

謝っているものの、(あずさ)ちゃんはまだ許す気は無いらしい。鳥峨家(とりがけ)(あずさ)ちゃんと正対する度に(あずさ)ちゃんは顔を動かして鳥峨家(とりがけ)から目をそらす。

「・・・(あずさ)ちゃんがその気なら。」

鳥峨家(とりがけ)はそう言うと(あずさ)ちゃんの頬にキスした。それにびっくりしたのか(あずさ)ちゃんの顔が赤くなる。

「ちょ・・・キスして許して貰おうなんてず・・・ずるいわよ。」

「アツいねぇ・・・。」

(あずさ)ちゃん、何か嬉しそう。」

「そりゃ、キスされて嬉しくない女性はいないって。」

僕たちがそう言っている間にも鳥峨家(とりがけ)は何回も(あずさ)ちゃんにキスする。恥ずかしそうに、でも嬉しそうに反応する(あずさ)ちゃんのことなどお構いなしだ。

大希(だいき)・・・。」

「さっ、それ以上は家に帰ってからにしましょう。」

「そ・・・それ以上って何よ。」

「もう、言わなくても分かってるくせに。」

「早く帰ろう、(もえ)。僕眠いから。」

「はいはい。」


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