425列車 慌ただしい折り返し
「のぞみ1号」が博多に到着する。ここまでの時間というのは本当に短い。時速300キロで流れていく車窓は本当に速かった。
(それにしても、「はつかり」や「はやぶさ」って320キロだから、算用よりも速いんだよなぁ・・・。)
ウチはそれを考えた。そういえば、お父さんもお母さんも「はやぶさ」に乗ったことがあるから、時速320キロは体験したことがあるんだよなぁ・・・。
「着いた。速かった・・・。」
双いい、智萌は体を伸ばす。速かったって「のぞみ」の中でずっとゲームしてたじゃん。ゲームしてればそりゃ速いって。乗る前はユサやモズに自慢しようっていってたのに、ずっとゲームしてたら、自慢できるものも自慢できないぞ・・・。
「そりゃ、新幹線なんだから、速いのは当然よ。」
お母さんはそう言った。お父さんは会えて何も言わない。ウチも何も言わない。
「それよりも、速いところお昼にしよ。」
お父さんはいう。
「えっ、もうお昼。まだ10時半だけど。」
「それがね、10時前なんだけど、今ご飯食べないと新幹線の中でしか食べられないの。智萌が新幹線の中でお昼食べたいなら、いいけど。」
「・・・。」
「ウチはそれしたくないなぁ。」
智萌に聞こえるようにいった。さて、どうするのかな・・・。
「分かったわよ。お昼食べる、食べるから。」
本当に単純だよね・・・。
でも、お昼っていっても食堂のほとんどは開いてすらいない。11時から営業するお店が多い。せっかく博多に来たんだから、豚骨ラーメンを食べたいという話になり、11時の開店まで待って豚骨ラーメンを食べる。だが、次に乗る列車「みずほ612号」は11時43分発。ラーメンを流し込むように食べ、新幹線ホームへと上がった。
新幹線ホームに戻ってくると「みずほ」が入線してくる直前だった。
「間に合った・・・。」
「ハァ・・・。久しぶりに走ったね。」
「智萌がゆっくり食べてるからだよ。」
「間に合ったからいいじゃない。」
「ほら、二人とも、言い争ってないで6号車に乗るわよ。」
お母さんに促され、入ってきたばかりのN700Sに乗り込んだ。
このN700Sはもともと東海道・山陽新幹線で運用されていたN700Sである。N700Sは16両片影で落成しているが、今までの16両編成の列車と違い、12両編成や8両編成への組み替えを前提とした設計がされている。そのため、リニア開業で余剰となったN700Sが山陽・九州新幹線用に転用されているのだ。JR西日本の持つ九州新幹線直通のN700SはN700系7050番台。JR九州をN700系8050番台の形式が与えられている。
「博多、博多です。ご乗車ありがとうございます。」
6号車のグリーン車寄りの扉にもたくさんの人が並んでいる。
「うーん・・・。普通車に乗る人はグリーン車通り抜けて乗って欲しくないんだよねぇ・・・。」
お父さんはそうつぶやいた。確かに、グリーン車に座れるわけじゃないのに・・・。
車内に入ると先ほどの「のぞみ1号」とは違うグリーン車の光景が目に入ってきた。「みずほ」に運用されるN700Sのグリーン車は車両の半分だけがグリーン車なのである。グリーン座席は「のぞみ」の200席の約10分の一程度の24席。そのせいもあってか「みずほ」のグリーン車は博多出発の時点でかなりの着席率である。
「光、智萌。そこに座って。」
お母さんの言われる席に座る。混んでいることもあって、窓側に智萌が座り、ウチは通路側に座った。
「智萌、後で席変わって・・・。」
「何で、さっきは光が窓側だったでしょ。」
(どうせゲームしかやるつもり無いくせに・・・。)
それは言わなかった。
グリーン車内が落ち着く頃には(みずほ)は博多駅を出発していた。ここから次の小倉まで最高時速300キロで走っていく。
ただ、お昼を食べたこともあって、発車してしばらくたったトンネルから記憶が飛んでいった。




