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MAIN TRAFFIC4  作者: 浜北の「ひかり」
Hikari Episode:2
63/102

424列車 「のぞみ1号」

 2033年元日。新大阪(しんおおさか)駅は混み合っている。普段からの旅客と繁忙期に新幹線に乗る旅客。そして、今日という日にJR西日本管内を走る新幹線に乗りまくる旅客。すべての旅客を覆い隠すように新大阪(しんおおさか)のホームにはひっきりなしにN700S(エヌナナエス)が入線する。

「みんな眠くない。」

お母さんが聞いた。

「僕は大丈夫。」

「ウチは眠くなんか無いよ。」

「ああ・・・。眠い・・・。

お父さん、ウチ、智萌(ともえ)の順に回答があった。と言っても、智萌(ともえ)は今も目をこすっている。昨日いつねたんだろうなぁ・・・。

「まぁ、「のぞみ」の中で寝ていけば。」

お母さんは智萌(ともえ)を見てそう続けた。お母さんの言葉が終わるのと入れ替わりに21番線にアナウンスが流れる。それは名古屋(なごや)から来る「のぞみ1号」の到着を告げるものだ。東京方面からN700S(エヌナナエス)が入線する。白の車体に入る700系時代から踏襲する青い2本のラインが目に入る。16両編成ある車両の中央部が僕たちの前に止まった。

新大阪(しんおおさか)新大阪(しんおおさか)です。ご乗車ありがとうございます。」

到着した列車からは多くの客が降りた。入れ替わりに、明らかに鉄道ファンだろうなぁという人の多くがグリーン車に吸い込まれていった。

「じゃあ、乗りましょうか。」

お母さんがそういうと、僕たちはグリーン車に乗り込んだ。乗った車両は9号車。3両連結されているグリーン車の中央だ。

「うわぁ・・・。」

ウチは車内に入ってそう声を上げる。もう少し立つと「ひかり」に乗ってまた浜松に帰るわけであるが、そのときに乗っている普通車とは違う。ライトは淡泊という雰囲気はなく、暖かく包み込むという表現が合うものだろう。シートも普通車とは比べものにならないほど横幅が広い。

 座ってみても違うことがよく分かる。ウチらの前にはお父さんとお母さんが座っているが、窮屈そうには見えない。ウチの隣にも智萌(ともえ)が座っているが、意識しなければ智萌(ともえ)が座っているということ自体認識できない広さだ。この座席にお手頃価格で、しかも4回まで座ることが出来るのだから、すごいものだ。

 気づくと「のぞみ1号」は新大阪(しんおおさか)駅のホームから滑り出していた。

(ひかり)智萌(ともえ)山陽新幹線(さんようしんかんせん)に乗るのは久しぶりだよね。」

「そうだっけ。」

智萌(ともえ)はいつからしているのかゲームを始めている。こういうときまでゲームかよ、まぁいいけど。

「何してるの。タッグ○ォースなら、お母さんも混ぜて。」

「ヤダ。お母さん|真○眼(ネオ・○○○アイズ)出しちゃうもん。すごい確率で。」

「・・・えぇ・・・。いっとくけど、真○眼(アレ)出すの大変なのよ。」

「じゃあ、何であんなにホイホイ出せるの。|双爆○竜(ツインバー○○)ほど素材軽くないのに・・・。お母さんの運がキチガイだからでしょ。」

「静かに・・・智萌(ともえ)。」

「あっ、ごめん。」

「・・・分かったわよ。」

お母さんのそういう声が聞こえる。ウチはお父さんをちらっと見た。窓の外をただ、黙って眺めている。新大阪(しんおおさか)駅の博多よりにある建物ももう見えなくなり、新幹線は大きくカーブしながら、新神戸(しんこうべ)へと向かって加速を続ける。

 ウチも黙って、外を眺めた。隣からはゲームしようというお母さんとお母さんの強運をいやがる智萌(ともえ)の声が耳に入ってきていた。


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