422列車 萌と雑談
11月の後半に入る。休みのある日僕たちは時刻表を見ていた。
「今年・・・じゃなくて来年ね。来年は出来そうなの。」
「うん。12月31日に仕事が終わるんだよね。それにそこまで寄る5連発の勤務だから、1月1日に勤務が入ってることはないと思うんだよね。」
萌の問いかけに僕はそう答えた。
「出来るのはいいけど、どこに行く。前に行ったときは山陽新幹線に乗って、その前は越美北線に乗りに行ったわよねぇ。」
萌はそう言った。
「懐かしいねぇ・・・。「のぞみ64号」乗って以来僕は元日休みじゃなかったんだっけ。」
「そうよ。あれは光と智萌が3歳なる8日前だっけ。あれは失敗だったわねぇ。「のぞみ64号」まで粘らずに「みずほ606号」とか「みずほ608号」で帰ればよかったかなぁって思ったわ。」
そう続ける。確かに、あのときは失敗だったかなぁ・・・。僕も早く光たちを寝かしつけるべきだったなぁと旅をしてから思ったものだ。新大阪着いたぐらいには光も智萌も爆睡してたからなぁ・・・。その後がいろいろと大変だったし。
「あのとき旅したのは失敗だったねぇ・・・。」
「とその話はいいわよ。今度はどこに行くのか決めないと。」
「そうだね。3月に北陸新幹線が全通したから、今年・・・来年の元日は北陸新幹線混むだろうね。特に「かがやき」と「はくたか」は席取れないかもしれないね。」
「臨時の「はくたか」ならまだ希望あるんじゃない。取るのはグリーン車でしょ。」
「うん。北陸新幹線は乗っておきたいからね。光とも約束して、やるやる詐欺みたいになってるし。」
「・・・そんな約束してたのね。」
「じゃあ、先に北陸新幹線に行く。まぁ、行くって言っても上越妙高までしか行けないけど。」
「光って北陸新幹線乗ったことないから、出来れば上越妙高まで行きたいよね。」
「じゃあ、やっぱり「はくたか」かぁ・・・。どっちから先に行くか知らないけど、「はくたか」って・・・ああ。午後とかは臨時列車もほとんど設定されてないのね。富山行きの「つるぎ」は結構多く設定されてるけど・・・富山を超えて東京まで行く「はくたか」は運行本数が激減するわね。」
「まずはどっち行くか決めるか。先に博多行くでいい。」
「いいよ。乗るのは何。「のぞみ」だよね・・・。」
「「さくら」とか取りたいけどね。グリーン車24席しかないし、普通席なら取れてもグリーン車は取れないでしょ。」
「魔改造N700S乗りたいなぁ・・・。7050番台だっけ。」
「JR西日本持ちが7050番台。JR九州持ちが8050番台ね。
「・・・あっ、「さくら」も臨時ならグリーン取れるんじゃない。ほら、新大阪8時08分発の「さくら583号」鹿児島中央行き。これで行くと博多に11時01分。博多南線の11時13分発の列車に間に合うわね。」
「じゃあ、それで往復だね。博多南に次に出るのは11時38分発。その次は12時41分発かぁ・・・。滞在時間短いけど11時38分でいいんじゃない。」
「・・・他行動したいとなると仕方ないわね。それに博多でお昼かなぁ。」
「これはそうだね。」
「じゃあ、90分ぐらい見て、13時17分発の「のぞみ174号」でどう。」
「「174号」の次は13時35分の「のぞみ34号」かぁ・・・。」
「・・・あっ、どっちに乗っても上越妙高に行く「はくたか574号」は厳しいわね。16時07分発・・・「174号」は15時54分着、「34号」は16時01分着。」
「「のぞみ32号」の方がいいね。13時10分発でしょ。」
「そうね・・・。じゃあ、上越妙高から戻ってくるのは「はくたか573号」ね・・・。えーっと。北陸本線の列車は・・・あっ。」
「どうしたの、萌。」
僕はそういい、萌が指さすところを見た。ぱっと見た瞬間にも絵の「あっ」が何を意味しているのか分かった。北陸新幹線の「はくたか573号」が敦賀に到着するのが22時23分。敦賀の米原方面行き最終列車は22時03分発。当然だが、「はくたか573号」に乗ってしまうと元日のうちに帰れなくなってしまうのだ。と言うより、今の行程は1日では消化しきることが出来ないと言うことだ。
「1本前にずらすしかないわねぇ・・・。」
ただ、それで博多南に行けるように行程を組むと守山の出発時間が4時49分になる。ちなみにこの列車は守山駅の始発である。
「博多南。諦める。」
「しかなさそうだね。」
「博多南を諦めるなら、乗る列車は7時59分発の「のぞみ1号」かな。これに乗っていくと博多着が10時25分。折り返しは11時51分発の「のぞみ168号」でいいかしら。」
「いいんじゃない。でも、どっちも普通のN700系だね。」
「仕方ないかぁ・・・。魔改造のは諦めることにするわ。」
「でも、11時43分に「みずほ612号」があるけど。」
「あっ、じゃあそれにする。グリーン車24席しかないけど、取れるかなぁ・・・。」
「臨時「みずほ」なら大丈夫なんじゃない。」
これで行くと北陸新幹線は新大阪14時50分発「はくたか572号」。上越妙高には17時57分に到着する。上越妙高発は18時35分の「はくたか571号」新大阪行き。これで敦賀に行くと20時40分着。敦賀を出る北陸本線の列車は21時10分発の長浜行き。長浜で新快速大阪行きに接続し、守山には22時42分着だ。
「結構遅い時間に帰ってくるね。」
「でも、1日で博多と上越妙高行けるってすごいわね。」
「そうだね。」
「それに1日だけよ。元日ぐらい遅くてもいいんじゃない。」
「大晦日は寝させるの。」
「そのつもりよ。光は言うこと聞いてすぐに寝てくれると思うけど、智萌はどうかな・・・。」
「脅せば大丈夫でしょ。」
「ハハハ。それで行こうか。」
2033年の新年はかなり面白そうだ。
注1:北陸新幹線の金沢~新大阪間は最速90分。各停120分と仮定しています。
注2:東海道新幹線から北陸新幹線への乗り換え標準時分を15分と仮定しています。




