420列車 思うところ
JR総持寺駅。今日俺はここにいた。JR総持寺は東海道本線(JR京都線)の摂津富田~茨木間にある駅である。構造は2面2線の島式ホームで、そのホームは複々線の真ん中に位置している。
摂津富田の方向にヘッドライトが見えた。それを見ると、俺はカメラのレンズを覗いた。この時間に外側線をやってくるのは「くろしお3号」新宮行き。「くろしお」は新快速を同じスピードで近づいてくる。
「パシャ。」
「あっ・・・。」
「くろしお」は外側の線路を颯爽と通過していく。窓と同じ幅があったグレーのラインは鮮やかなスカイブルーに改められ、細かった窓下のオーシャングリーンのラインも「サンダーバード」と同じぐらい太くなっている。先に来た6両はそのような塗装になっているが、後ろに連結されている3両は窓周りがグレーでオーシャングリーンのラインも細い。どうやら、6両編成の287系は更新車だったようだ。だが・・・。
「ああ、やっちゃった・・・。」
撮った写真を見て、俺はそう言った。タイミングを逃したようだ。車両の左側が少しだけだが切れている。自分の中で考えた構図はばっちりだったのだが・・・。もったいない。
(更新車はだんだん多くなってきてるからなぁ・・・。)
あまり見れない光景をものに出来なかったことを後悔する。
「・・・。」
「岩槻高校・・・。」
「ええ、東京にある・・・。」
一瞬頭の中に崇城さんの家に行ったときのことがよぎる。
「クソッ・・・。」
二つの意味を込めて言う。崇城さんの家に行って以来、俺は進路のことばかり考えている。光みたいに塾に行ったりして、まっすぐ進んで行く光と俺は違う。それを最近思い知らされる。
だいたいいろいろおかしいんだよ。俺みたいなバカが東京の高校でしかも結構な大学目指すコースがあるような高校に行けるかってんだ。図書館で勉強とかしてたけど、そんなレベルで行けるような孝行なのかよ。ちょっと前に光が統一テスト判定悪かったとか言ってたじゃん。光って俺よりも頭はいいぞ・・・。
「・・・。」
高校、東京に行こうなんて・・・。俺にはいろいろと合う場所じゃない・・・。




