417列車 女子会
3月。
「光君って、本当に出来た子よねぇ。」
そう言いながら、梓は置かれているケーキにフォークを入れる。
「私も怖いわ。光って出来ていすぎな気がして。」
「それ自分で言う。」
「言っちゃう。まるで私の子じゃ無いみたいにいろいろ考えてるんだもん。あっ、ナガシィの子でも無いかも。」
「じゃ、どうやって光君生まれたのよ。」
笑いながら、美萌もケーキにフォークを入れる。
こうして3人で話をするのも久しぶりだ。やはり、友達でも他の家庭になってしまうとなかなか会う機会というものが無い。今日はそんな機会に恵まれた日なのだ。そうそう、ここに来るのは私たちだけじゃ無い。懐かしい顔ももうすぐ来る予定だ。
「そんなの決まってるでしょ。ナガシィ君とイチャイチャした結果でしょう。ミディクロリアンで勝手に子供が出来るなんて事無いしね。」
梓はそんなことを言った。こういうこと言えるようになったのは鳥峨家君って言う変態の隣にいるせいだろうなぁ・・・。ミディクロリアンとかスター○ォーズネタが入ってきたけど・・・そういえばアナ○ン・スカイウォーカーは父親不明だったっけ。
「おお、おお。言いますねぇ。大希君とのイチャラブ○ックス通算1000回行った人は。」
いやいや、あの変態と毎日いるんだよ。梓の話じゃ今も次の日が休みの夜は旺盛らしいし、1000回以上確実にいってると思うけど・・・。
「それはどうでもいいでしょ。」
「そうね。」
そう言うとフォークにのったケーキを二人は口に運ぶ。のみ込んだら、今度は同時にため息をついた。
「どうしたの。」
「だって、光君がそんなに将来のこと考えてるのに。うちの子ときたら・・・。」
「美萌さんのところもそうなんだ。真佐哉君も今年受験だっけ。」
美萌のところの真佐哉君も梓のところの陽斗君も今年受験だよなぁ。
「そうなのよ。やっぱりいいところ言って欲しいんだけど、今度もらってきた通信簿あんまりよくなかったのよ。「今年受験なのよ。どうするの」って怒り気味に言ったら、「ちゃんと考えてるって、母さん変な心配しないでくれよ」って・・・。本当にちゃんと考えてるのかどうか心配になってくるわ。」
と美萌。
「ああ、ウチも同じ。陽斗ちゃんと進路考えてるかなぁ・・・。気になって聞いても「関係ないだろ」とか「いちいちうるさいな」とか。そんな返事しか帰ってこないのよ。」
と梓。いろいろと苦労してるみたいだなぁ。
「光君いいなぁ・・・。私|光君が子供だったらよかったかも。」
と続けた。もちろん冗談なのは分かっている。
「やってみる。年数回ナガシィの旅費をしっかりキープした上で家計やりくりしなきゃ行けなくなるけど。」
「それは萌でなきゃ出来ないから。」
「無理無理。家族サービス別にいいわよなんて私も旦那には言えないわ・・・。」
「そりゃ、そうでしょうね。」
そう言うと笑い合った。
「お待たせ。」
その声でいったん会話がとまる。ふとそっちを向いてみると懐かしい顔のお出ましだ。端岡夏紀。この名前を聞くのも久しぶり?その夏紀はスーツとそれに合う黒いコートを羽織っている。
「久しぶり。夏紀。」
梓が言う。
「メッチャ久しぶり。夏紀。覚えてる。私、美萌よ。」
「しっかり覚えてるわよ。久しぶりね。梓とは大希君との結婚式以来ね。」
「もう、早く。座って、座って。」
私がせかすと夏紀は「うん」といい鞄を置いた。
「それにしても、みんな変わったわねぇ。梓は白馬の王子様と結婚した上に子だくさんだし、萌はいつものコンビが親になったし、美萌は・・・大きく変わったわ。」
「ちょっと、私のこといい加減じゃない。」
「そういう夏紀だって結婚してるし、子供いるでしょ、3人も。」
梓がそう言うと、
「そうね。みんな結婚して子供もいて、家庭は円満なんだっけ。」
と笑った。
この後話が弾み、昔話でいろいろ盛り上がった。
「変わってないわねぇ、ナガシィ君。」
「でしょ。」
「お話中のところ失礼します。」
その声が私たち4人の会話に割って入ってきた。それにびっくりして、みんなでその声の主を見た。そこにはおしゃれな服に身を包んだ中学生が立っていた。
「やはり、光ちゃんのお母様だったのですね。お久しぶりです。崇城亜美です。」




