413列車 水無瀬
今日もウチは列車の写真を撮りに出かけた。よく行くのは東海道本線の島本駅であるが、今日来たのは阪急水無瀬駅である。水無瀬では東海道新幹線が隣接し、新大阪~京都間を走行する新幹線が高速でホームの隣を通過する。
N700Sが高速で東京方面に向かって行くと、今度は阪急の特急が大阪梅田に向けて走っていく。今通り過ぎて行った阪急は新しい阪急2300系。昔は知っていた2扉の2300系とは違う。今の2300系の行先表示はフルカラーLEDで走行もSiCVVVFインバーターで静かだ。
「だんだんとN700Aも少なくなってくるわね。」
亜美はウチの隣でそう言った。亜美から進路のことを聞いてからこうして撮影に赴くのは初めてだ。
さて、N700Aが少なくなるというのは当然のことである。JR東海は車両の取り換え期限として13年と設定している。N700Aは2012年に初期車が投入されて以来2020年度まで東海で51編成、JR西日本で24編成が投入され、700系新幹線を置き換えている。もうすでに初期車はN700Sにより置き換えられており、これからは新型車両N0系により置き換えられる予定である。
「こうしてみるとSが多すぎるなぁ。」
そういえば、N700Sってなん編成あるんだっけ。確かX編成全部置き換えるぐらいの数は投入されていたから、全部で80編成以上かぁ・・・。
「N700Sは全部で81編成。」
「81・・・。」
その数に圧倒される。さすがはJR東海というところだ。
「ああ、でも、リニアの開業で数は最適化されてるから、もう81編成ないわよ。確か61編成位だったかな。ほとんどはJR西日本が買い取ったんだけどね。」
そういった。と言っても、700系まであった東海車と西日本車の差が、N700系からはなくなっているから、車体番号の書かれているところにあるJRマークのカラー以外、外から見分けられるものはない。でも、新大阪とかで新幹線を見ると西日本のN700Sもかなりの数がやってくる。それはそういうことがあったからかぁ・・・。
「光ちゃん、来たわよ。」
話も一時は中断かぁ・・・。新大阪方面から白いライトが見える。それは秒速約79メートルで近づいてくる。それはよく見るデュアルスプリームウィングという先頭形状ではなくエアロダブルウィングというN700A系の先頭形状だ。
側面に大きく描かれたAのマークが流れていく。
「どう、うまく撮れた。」
「普通だよ。写真うまい人みたいには撮れないって。」
「・・・ねぇ、光ちゃん。」
「何。」
「そろそろ、あれの答え聞かせてもらってもいいかな。」
「ああ、岩槻のこと。行くよ。」
「そう。じゃあ、勉強気を抜かないように。」
「うん。」
そのあとあんまり会話はしなかった。




