407列車 東京へ
日本の首都、東京。
(着いた・・・。)
東京駅を眺めながら、周りを見回す。大阪と同じように摩天楼が建ち並ぶが、大阪にはない貫禄を感じるのは首都ならではなのだろうか。
次に見たのはたった今19番線に入ったN700S。今見ているのは9号車776-3008。これに乗ってきたのだ。
東海道新幹線の東京~名古屋間は現在、「のぞみ」が毎時3本。準速達タイプの「ひかり」が2本、「こだま」3本の体制に変化している。なお、繁忙期は静岡停車タイプの「ひかり」と、新横浜~名古屋間の停車駅が少ないタイプの「ひかり」がそれぞれ1本ずつ増発される。名古屋以西は依然として「のぞみ」が多く設定されているほか、「のぞみ」が運行されない時間帯に名古屋~京都間ノンストップの「ひかり」が運行されるようになっている。
開業から5年が経とうとしているリニアにだんだんと長距離旅客が流れ始めたことの表れともいえるダイヤに変わっている。
「お嬢様。」
「瑞西。早くね。」
私はそう言うとすたすたとエレベーターのあるところに駆け寄った。エレベーター前にはすでにエレベーターを待っているグリーン旅客もいる。ここに居る人たちは新大阪から乗っている人の方が多いように思える。だが、スーツを着たビジネスマンという人はあまり多くないようだ。グリーン車でも名古屋で降りる人が多かったところを見る限り、乗り換え無しでいける「のぞみ号」よりもスピードで勝る「ふじ」を取る旅客が多いと言うことだ。
それは最近の「ふじ」の増発からもいえることだ。
「お嬢様、本日はいったいどのような件で東京へいらしたのか。そろそろお聞かせくださいますか。」
そういえば、瑞西には何も言わずに東京行きの切符を買ってとお願いしていたな・・・。
「他でもないわ。私が将来はいりたいと思う高校の視察よ。」
「視察ですか・・・。しかし、お嬢様はまだ。」
「分かってるわ。これは光ちゃんに教えるためでもあるのよ。」
「光様にですか。」
「ええ。あの子本当に鉄道のことが好きなのでしょうね。それはよく感じるけど、こういう将来のことを何もかも網羅して考えているかと言われれば、そうでも無いと思うのよ。それに私だけ、鉄道高校に行ってしまえば、私と光ちゃんの立場は対等ではなくなる。それを防ぐためでもあるのよ。あの子なら、鉄道高校の存在を知れば、興味を示さないわけがないでしょうからね。」
「・・・お嬢様、あまり人の人生に口を出さない方が・・・。」
瑞西の言うことは最もだろう。これは私のエゴに過ぎない。ただ、同じものを志す同性と思ってしまった最初。その時点から私には光ちゃんという存在が必要に思えて仕方が無いのだ。
「私はどうしても欲しいの。光ちゃんがね。」
とつぶやいた。
「帰りは「ひかり」よね。」
「はい。お嬢様が言われましたとおり、「ひかり477号」のグリーン車を手配しております。しかし、なぜそれを・・・。」
「特に理由は無いわ。気になっただけだから。」
来る車両はN700Sか、N700Aか・・・。出来れば、少数派になりつつある、X編成が来て欲しいもんだ・・・。無理か、G編成は51編成あるからなぁ・・・。
鉄道事情はパラレルワールドですので、ご了承ください。




