406列車 岩槻鉄道高校
「これをこうして・・・。」
そう言いながら、作っているお菓子の上にデコレーション。これが上に乗れば、よいよ完成だ。
「ヨシッ。出来た。」
そう言い、自分の作ったケーキと正対する。
「うん、我ながらいい出来。これは自画自賛できるかも。」
指を鼻の下に持って行くと何か付いた気がした。よく見ると指にクリームが付いている。いつ付いたんだろうなぁ、そんなことを思いながら、指のクリームをなめた。
「ううん、おいしい。」
そう言うとお腹が鳴った。
(誰も居ないわね・・・。)
「いただきまーす。」
口に今作ったケーキを運んだ。一口入れるなり、衝撃が走る。
「おいしい。かもじゃなくて、ほんとに自画自賛できる。」
「萌、何おいしいの一人で食べてるの。」
ギクッ。
「なっ、ナガシィ。いつの間に。」
「さっきからだけど。それ、僕のはないの。」
「心配しなくてもあるわよ、ちゃんと。あっ、クリーム単体は使い切っちゃったからないわよ。」
「・・・そうなんだ・・・。」
「クリーム無いでそんなにがっかりしないで。」
それはそうと、ナガシィって今の年じゃさすがにやらないけど、昔はケーキに使ってないクリームとか、イチゴに付ける練乳のチューブとか一人で全部食べきってたなぁ。もちろんそれだけで。今でも、体さえ気にしなければやるのかなぁ、というか出来るよね・・・。
「もう、クリーム岳もおいしいけど、ケーキの方がもっとおいしいから。これ食べて、我慢して。」
ていうのもおかしいか。
「ホント、じゃあ、いただいちゃおっかなぁ。」
ナガシィが嬉しそうだから、いっか。
ナガシィと私が食べるためにケーキを切り分け、お皿に盛り付ける。それを持ってナガシィのところに行き、二人で食べた。うん、さっきちょっと食べたときと同じ、我ながらいいできのケーキだ。
「それにしても、何でケーキ作ってたの。バレンタインデートかまだまだ関係ないけど。」
「私が食べたくなったのよ。悪い。」
「別に、僕のがあるならいつ作ってくれてもいいけど。萌が作るケーキはおいしいからね。」
(焼いてるわけじゃないけどね・・・。)
まぁ、作りたくなったのは梓ちゃんが作ったケーキを食べたからだけどねぇ。あれもおいし
「あっ、それはそうと、光の進路のことだけどさぁ。」
「ナガシィからその話振ってくるって珍しいねぇ。・・・光が行きたいところって天都高校だっけ。」
「天都は関係ないよ。」
違うんだ。光が前コピーして欲しいって行ってたのは天都高校のホームページだけど、それが関係ないって・・・。
「光って、岩槻とか知ってたらそっち行きたいって言うかな。」
「岩槻・・・。」
「えっ、萌知らない。鉄道雑誌の最後に案内載ってる高校。岩槻鉄道高校。」
「知らないわよ。ていうかそんな高校あるって今初めて知ったわよ。」
「・・・そうだったの。僕は知ってるんだと思ってた。」
「それで、その岩槻に光が行きたいって言うかどうかって事。」
「うん、光知ったら絶対行くって言うんじゃないかな・・・。少し前に迷列車の動画で取り上げている人の見て思い出したんだけどね。」
ナガシィもその高校のこと忘れてるじゃん。
「どうかなぁ。」
「さぁ。・・・ていうか、それは私に聞かれても困るんだけど。」
(キラキラキラキラ。)
あっ、答えて欲しいって目してる。
「じゃあ、もしナガシィが高校は居る前にその高校のこと知ってたら、行ってた。」
「と思う。」
「じゃあ、行くんじゃない。」
私はそう答えた。といっても、ナガシィの反応は何もなかった。たぶん、私がどういうのかって事が分かっていたのだと思う。聞いてきたのはなんて言うか確認がしたかったんだと思った。でも、
「その話を私に持ってきても仕方ないじゃん。」
「決めるのは光だもん。」
「いや、それデモだよ。」
「萌、ケーキおかわり。」
「私の話聞いてる。もう、仕方ないなぁ。」
光は岩槻の存在は知ることになるだろう。おそらく、それを知るのも早い段階でのはず。僕はそう直感している。後は全部光次第だ。




