405列車 看病しに来たの
「梓ちゃん、気分はどう。」
ベッドの上で寝る嫁に話しかけた。ああ、どうしてこんなことになっているかって言うと、帰ってきて早々に息子陽斗から母さんの調子が悪いと聞かされていたからだ。宅、こっちは今日も夜勤があるって言うのに・・・。まぁ、嫁の一大事ならそんなことはどうでもいいけど。
「あっ、結構よくなったわ。大希に怒鳴られたときよりはねぇ。」
それを聞きながら、俺はちょっと朝のことを思い出した。
家の方向に歩いて行くと、
「おはよう、陽斗。」
「あっ、父さん。母さん調子悪いみたいだけど。」
「えっ。」
「お・・・俺も今日はちょっと・・・。」
「何馬鹿なこと行ってる。おまえは学校行け。欠席するよりも遅刻の方がましだ。」
ったく。学校行きたくないわけでもないだろうに・・・。さて、調子が悪いんなら早く帰って病院連れて行ってやらないとなぁ・・・。家すぐそこだし。
「ただいま。梓・・・。」
俺の目に入ってきたのは壁にもたれた状態で頭を抱えている梓ちゃんの姿だった。
「全く、あんな状態になるまで無理してるんじゃない。」
「ごめん、ごめん。」
「今度そんな無理したら、梓ちゃんいたずらするからね。」
「ハロウィンはまだ半年以上も先よ。」
「・・・そうか。じゃあ今日の分は今年のハロウィンの時に持ち越しって事で。」
(あっ、余計なこと言うんじゃなかった・・・。)
「って、どんだけ私にいたずらしたいのよ。」
「梓ちゃんならいくつになってもいたずらしたいに決まって・・・。」
「危ない発言禁止。」
分かってるけど梓ちゃんももうアラフォー何だよなぁ。さすがにあんなことやそんなことをいつまでもやれる年齢じゃあだんだんなくなってきてるんだけどなぁ・・・。ああ、これは俺のせいかぁ・・・。
子供も帰ってくる時間になるとすっかり体調もよくなったのか、俺と話すときの声もはっきりした声に変わってくる。俺としては一安心・・・。
「あれ。」
梓ちゃんの部屋から晴夏が出てきた。
「どうした。」
「あっ、ううん。何でもないの・・・・。」
そう言い、笑いながら後ずさりしていった。変なやつだなぁ・・・。
「梓ちゃん。今、晴夏が・・・。」
「ああ。私の看病しに来たのよ。全く私の病気が晴夏にうつって言い分けないのに。学校行きたくないのかなぁ・・・。」
そういうのを聞いて、晴夏がどんな目的で梓ちゃんの部屋に入りに来たか分かった気がした。
「ああ、子供は学校が休みになることが一番嬉しいことかもしれないからなぁ・・・。」
「病気移してもらって休もうなんてして言い分けないじゃん、ねぇ。」
「ああ、そうだな。」
俺も小さいときはどんな鉄勝手でも学校に行くまいとしていたことは秘密だなぁ・・・。




