403列車 HP
ウチはお母さんを探した。インターネットのページを印刷したかったからだ。
「あっ。」
居た。お母さんはちょうどお父さんと話をしていた。何を話しているのかは聞こえてこないけど、面白い話でもしてるんだろうなぁ・・・。電車の話かなぁ。二人とも電車好きだし。
「お母さん。」
「んっ。なぁに、光。」
「ネットのページ印刷したいんだけど・・・。」
「・・・いいわよ。お父さん、ちょっと待ってて。」
「あっ、うん。」
そういうのを聞いて、ウチはお母さんの部屋に置いてあるパソコンの前に行った。
「どれどれ、何を印刷したいの。」
お母さんはそう言い、画面をのぞき込んだ。
「へぇ、天都高校のホームページかぁ・・・。ここに行きたいの。」
「まだ、行くって決めたわけじゃないけど。」
「そう。行きたいって思うのはいいけど、そう思うならちゃんと勉強頑張りなさいよ。」
当たり前のことだ。それはお母さんに言われるまでもない。というより、お母さんの場合智萌の方が心配だろうなぁ・・・。なんてこと言ったら、智萌怒るかなぁ。
「えーっと、ファイル。印刷。」
お母さんは口でつぶやきながら、タッチペンで画面のその場所をタッチする。お父さんもなんかやるとき同じ事としてるけど、これは何でするのかな。忘れないため・・・。ウチにはいまいちこれの効果が分からない。
「これでヨシッ。」
そう言うと、お母さんは上に置いてある印刷機から今印刷に書けたページが出てくるのを待った。
「はい、どうぞ。」
「ありがとう。」
お母さんは印刷した紙をウチに渡して、元いた部屋に戻っていった。
「ヨシッ、やりたいこと終わったし。動画あさろう。」
萌が戻ってきた。
「お帰り。」
僕はそう声をかけた。
「ただいま。って家の中だけど。」
「そこは気にしなくてもいいじゃん。」
萌は僕の対面のいすに腰掛けてから、
「今ね、天都高校のホームページ印刷してほしいって言われたのよ。」
といった。
「印刷してほしいって。別に印刷しなくてもよかったんじゃない。」
「光がして欲しいっていったんだから、しただけよ。」
「天都高校ってどういう高校かなぁ。」
「あっ、私たち向こうのしか知らないからね・・・。たぶん、頭いい高校だったりするんじゃない。まっ、光なら頭いい高校でも受かりそうな気がするけど。」
「・・・まっ、光が・・・。」
「ナガシィ。」
僕が何かを言いかけると萌がその声を遮った。
「何。」
「ナガシィ、光がどこに行こうが何も言わない。」
「萌、さすがに光がどこに行こうが、新聞社とか赤い連中のところじゃなきゃ何も言わないよ。」
僕がこれの中に新聞社を入れたのは言うまでもない。自分の図体にものを言わせて、自分の主張に合うものしか報道しようとしない、死んだジャーナリズムをさも日本のすべてかのように詐称する日本のマスゴミに行かせる人は僕の子供には居ないからね。もう一つの赤い連中は損しかないから、論外だ。
そういえば、僕の仕事の一つであの捏造が仕事の新聞を使うものがあったなぁ・・・。あれ別の新聞にならないかな。例えば、プロ野球持ってるところとか・・・。
おっと話が逸れた。
「それに、僕は・・・。」
「ナガシィ、あんまり我慢しないで。私の前なら何言ってもいいから。」
「・・・。とにかく、萌が思ってるようなことはしないから。そこは安心して。そこまで子供じゃないし。さすがに子供持ったらいつまでもそんなことしてられないし。ていうか何年親してると思ってるんだよ。」
「そこはごめん。」
「じゃあ、何か言いたいときは聞いてよ。」
「分かったよ。」




