399列車 雪害シーズン
滋賀県は広い範囲で雪が降った。東海道新幹線からしてみれば、遅れを乱発するいつものシーズンに入ったのだ。
この時期は車で走り回っている僕たちからしても大変な時期だ。いつものように荒い軌道を取ることは当然ながらできないし、国道はゆっくり安全運転の車で混雑する。もちろん、それだけならいいのだが、たまに冬タイヤをつけていない車に起因する事故渋滞などがある。でも、今日はそんなことないところを走っているから関係ないか。
「ああ、正月早々から雪とはねぇ・・・。」
「本当。正月の仕事としては最悪だな・・・。まして、帰省シーズンだから、普段見ない車も走ってるし・・・。」
隣に乗っている鳥峨家とそういう話をした。
「電車と雪は至高なんだけどな。」
「それは至高だな。異議無しだ。」
さすが、電車好きは話が分かる。雪を巻き上げは知っていくあの絵は雪が降らないとみることができないからなぁ。
「そういえば、話変わるけど、今年も浜北に帰るのけ。」
「帰る予定。新名神と新東名通ってね。本当は新幹線で帰りたいんだけどね。」
「珍しいなぁ、レヴォ使って帰るって。」
鳥峨家はそう言った。確かに、僕が車運転して帰るって珍しいかなぁ・・・。まぁ、車の運転は疲れるし、仕事で結構運転してるからプライベートまで運転したくないって言うのが正直な感想だからなぁ・・・。まぁ、でも今回は高速に乗って帰るから・・・。高速を新快速で走りたいし・・・。いかん、新東名以外じゃ捕まるか・・・。
「まぁね。それで、そっちは帰るの。」
「ああ。梓ちゃんのお父さんとお母さんにはちゃんと孫の顔見せに行かないとなぁ。」
まぁ、それはそうか。こっちも向こうに帰ったら萌ちゃんのお母さんたちに顔見せにいってるしなぁ・・・。やっぱりおじいちゃんとおばあちゃんになると孫の成長って言うのは見たくて見たくて仕方がないものになるのだろうなぁ・・・。同じ立場にならないとそこは分からないものだな・・・。
「4人も子供がいると大変だねぇ。」
「4人もだけど、2人も大概だろ。」
「・・・そうでもないよ。どっちかって言うと手がかかるのは智萌の方だけだし。光は何かと大人しいから、変な手間はかからないし。」
「それいいなぁ・・・。」
そう言いながら、鳥峨家は子育てでてんてこ舞いになってた頃の梓ちゃんのことを思い出した。あの頃は大変そうにしてたなぁ・・・。萌ちゃんって二人が小さいときはどんな感じだったのだろうか・・・。
「あっ。」
「どうしたの。」
「ごめん、ちょっと梓ちゃんの顔思い出したら、腹が立ってきた。」
「えっ、また喧嘩でもしたの。」
「ちょっと家事手伝ったら怒られたんだよなぁ・・・。」
「・・・。」
この二人ってよくそういう些細なことで喧嘩するよなぁ・・・。まぁ喧嘩するほど仲がいいって言うけど。
「永島って、家事手伝って萌ちゃんに怒られたことある。」
「僕それで怒られたことないよ。そもそも手伝ってないし。」
「丸投げかよ。それこそ、萌ちゃんに怒られない。」
「怒られないよ。萌も僕に手伝わせるの諦めてるし。」
「理解あるなぁ・・・。そして、萌ちゃんよく旦那にその鬱憤ぶつけてこないなぁ・・・。感心するわ・・・。」
道を曲がり、新幹線の高架橋のすぐ脇を通るようになる。
ふと見上げると氷柱が下がっているのが見える。数は一つや二つじゃない。数え切れなくなるぐらいだ。そして、結構大きいものが下がっている。さて、新幹線高架橋のすぐ脇を車で通れると言うことは、通行があると言うことでもある。氷の塊である氷柱もいつかはなくなるが、通行のあるところに下がっているというのは危ない。
「うわっ、永島仕事がぶら下がってるぞ。」
「ぶら下がってるなぁ・・・。落とすか。」
そう言い、鳥峨家は車と止め、僕は重い棒を車から持ち出せるようにした。




