397列車 敦賀
新年。敦賀駅は雪に閉ざされていた。真新しい高架橋の下をくぐり、在来線ホームに向かって225系100番台はスピードを落とす。その高架橋は北陸本線を飛び越え小浜方面へと消えていく。
「ご乗車ありがとうございました。まもなく終点、敦賀、敦賀です。乗り換えのご案内をいたします。北陸新幹線「はくたか564号」東京行きは12番乗り場から・・・。」
車掌のアナウンスが「新快速」の中に響く。
北陸新幹線は敦賀~大阪間をどこ通るかでもめていた。結局、福井県の意見とJR西日本の思惑の一致した小浜ルートでの建設が決定した。最も建設費の抑えられる米原ルートにならなかったのはJR東海との折り合いがつかなかったためである。特に車両数(北陸新幹線は12両。東海道新幹線は16両。)。それに現在の東海道新幹線名古屋~新大阪間は臨時列車を含めて毎時10本の「のぞみ」の運行が継続されており、「こだま」1本、岡山行きと新大阪行きの「ひかり」がそれぞれ1本ずつととても北陸新幹線と東海道新幹線の列車を多客期などで両立させることはできなかったためだ。
「北陸新幹線って来年全通だっけ。」
ウチはお父さんに聞いた。
「そうだったね。ようやっと大阪まで北陸新幹線がつながるからね。光、全通してちょっと経ったら乗り行こうか。」
そういう約束をしてくれた。
「うん。絶対だよ。」
「分かってるって。」
カーブのかかる在来線ホーム4番線に「新快速」は停車した。敦賀駅では「新快速」ドアは自動では開かない。閑散線区とかでよくある半自動ドアというものだ。ドア横についているボタンを押して降りると入れ替わりで、ここから「新快速」に乗り込む。
上につり下がっている駅名標にはJR西日本の表記とこの先の路線を管轄するようになった「FDR福井ダイナ鉄道」の表記が併用されている。
「FDR福井ダイナ鉄道」は北陸新幹線の敦賀延伸時に福井県内の北陸本線を第三セクターに転換したためにできた鉄道会社だ。FDRの「D」は「Dinosaur」のD。「フクイラプトル」などの恐竜化石が発掘されただけある福井県ならではだ。なお、北陸新幹線が新大阪まで全通すると小浜線の敦賀~小浜間がFDRに移管され、「FDRオバマ線」となることがすでに決まっている。だから、ここに来たのかというわけでもないんだが・・・。
「125系が止まってるね。」
お父さんはそう言った。
さて、反対側に目をやるとE7系かW7系が東京へ向かって旅立っていく。あの列車はさっき言ってた「はくたか564号」だろう。「はくたか564号」は福井、小松、金沢、新高岡、富山、黒部宇奈月温泉、糸魚川、上越妙高、長野、軽井沢、高崎、大宮、上野に停車する。金沢までの間には武生南越、芦原温泉、加賀温泉駅があり、大阪方面から早く金沢、富山に行けるようになっている。
「4番乗り場に停車中の列車は「新快速」湖西線経由姫路方面播州赤穂行きです。「ドアの横のボタンを押してください。ドアが開きます。」」
近くでは折り返しを待っている「新快速」がいる。
「新幹線ホームにでも行くか。」
「うん。」
ウチらは上にできあがった新幹線との接続跨線橋を歩いて新幹線ホームへと向かった。
新幹線を見た後帰ろうとしたとき、雪が降り始めて、帰りの「新快速」が遅れてしまったのは内緒だ。




