394列車 ○○の優しい○遊び
机の上に置いたスマートフォンから、ラジオ番組が流れてくる。今はCMに入っている。
「○○の優しい○遊び。」
番組途中のタイトルコールが流れる。
「2031年12月26日。皆さんいかがお過ごしでしょうか。2031年もあと数日。大掃除に追われる日々を送っている方も多いのではないでしょうか。そんな昼間の疲れをいやす、○○の優しい○遊び。本日が、2031年放送のラストでございます。」
MCはそう切り出して、番組をスタートさせた。
「さて、本日のメールテーマですが、もう毎年恒例になってきたね。「今年の事件ナンバーワン。」これで行きたいと思います。それではメール募集している間に曲行きましょう。」
そう言い、スマホからはイントロが流れ始める。
「大希は今年大きな事件でもありましたか。」
俺と対向して座ってる梓ちゃんがそう聞いてきた。それにしても、何だろう。この違和感ある聞き方・・・。
「うーん・・・。」
一年振り返ってみてもなかったように思えるんだけどなぁ・・・。なんか会ったっけ・・・。別に浮気してるわけでも無いしなぁ・・・。今年も政界、芸能界、いろんな有名どころの縁談やスキャンダルとかあったからなぁ・・・。いくらスキャンダルが多かったからって、それが俺の流行に上がることはないんだけど・・・。
「無いな。」
「本当にないんですか。前に「萌ちゃん」って言ってたのは、何だったんですか。」
「えっ。」
・・・まったく身に覚えないんですけど。
「なんて嘘よ。」
口調が何時もの梓ちゃんに戻った。反応が面白かったのか、くすくす笑っている。
「こ・・・この野郎。ビックリするじゃねぇか。」
「ごめん、からかったりして。」
・・・たく。でも・・・可愛いから許す。今のが今年の事件だな・・・。そんなことを思った。
「・・・そう言う梓ちゃんは何かあったの。」
「私、私はね・・・。恥ずかしいから言わない。」
「何だよ。それは。アラフォーになっても恥ずかしいことがあるのかい。」
「もう。男のアラフォーと一緒にしないでくれる。女はね幾つになっても恥ずかしいことぐらいあるわよ。」
「・・・。」
ラジオは曲の1番が終わったころだ。伴奏に入っている。その伴奏を使ってMCが曲の解説をしている。他のコーナーに行くのはもうすぐらしいな。
「大希は何か飲む。」
「ビールとか日本酒飲むのはやめろよ、梓ちゃん。後大変だから。」
「えっ。一番私にお酒を飲んでほしいのに、何言ってるのかなぁ。まっ、クリスマスで飲んだからお酒は切らしてるし、大希が臨む展開にはならないと思うけどね。さ、冗談抜き何が飲みたいの。」
「梓ちゃんの〇〇〇。」
そう言うと梓ちゃん真っ赤な顔して、右手を振り上げた。そりゃそうだよなぁ・・・。
「冗談いうなら何も持ってこないわよ。」
「ワリィ・・・。お茶でいいよ。」
「はいはい。」
二人でお茶を飲みながら、ラジオを聞く。コーナーはどんどん進んでいき、リスナーから届くメールを読み始める。
「島根県にお住いの25歳、出雲の黄色い猫さん。女性。私の今年の事件は旦那と有ったあれですね。買い物の帰り、私はどうも性欲が我慢できなくなりました。家に帰ると早速旦那としようかと思い・・・。」
なんつうメールだよ。チラッと梓ちゃんの反応を見るとやっぱり恥ずかしそうだ。俺と目が合うと顔を赤くして、目をそらす。でも、昔はこういう話が聞こえなくなるところに行ったりしてたから、下ネタにはかなりの耐性がついているらしいけどね。
「下ネタ大好きなリスナーこの番組には多いわね。」
そうポツリと言った。
「深夜のラジオ放送だからなぁ・・・。良い子は聞いてないだろうし。」
「・・・それもそうね。」
「東京都にお住いの27歳。吉田君さん。男性。」
そう言い、事件の内容を言っていく。やっぱり下ネタ好きが多いのかな。
「ママ、イクって言ってたけど、何処に行くの、と。それ以来嫁との夜の間柄は疎遠になっています。」
ラジオの声だけが部屋の中に大きく響いた。
「俺達にもあったな・・・。」
「あったわね・・・。でも、あれはこれとはまた状況が違うじゃん。彩萌ちゃんと晴夏ちゃんに私裸になってるところ見られてるじゃん・・・。」
「なんとかごまかしたからいいじゃないか。」
「そうだけどさぁ・・・。私あの後二人に聞かれたのよ。昨日の夜なんで裸だったのって。裸だと恥ずかしいんじゃないの。パパの前ならママは恥ずかしくないのってさ・・・。」
「でもやっぱりごまかしたんでしょ。」
「まぁね。ああ、何でこんな昔の話ほじくり返さなきゃいけないのよ・・・。」
顔を赤くして机に伏した。
「梓ちゃん・・・。」
「ああ、何時まであのごまかし二人に効くんだろう。二人とも年頃だし、ママ心配だよ。」
「もうそろそろ聞かなくなるだろうな・・・。でも、言い訳の通りにはしといてくれるって。」
「・・・。」
そう願いたいな・・・。見られた側としては・・・ね・・・。




