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プロローグ
少女は走った
まだ間に合うと信じて
陽はだんだんと登りはじめ、夜露にぬれた草原が輝きはじめる
少女は目もくれずひたすら走った
まだ共にいたいと
またわらってほしいと
あさましくてもいい
醜くてもいい
誰にどんなことを言われようとも
少女は走った
長いようで短い時間を過ごした
共に笑った
共に泣いた
きれいな景色を
醜い感情を知った
それ以上に
やさしさを
教えてくれた
少女は大粒の涙を流しながら
ひたすら走る
この先に
替えようのない
ただ一人がいると信じて――――