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バレエ歴八年。
一方マリーナは準備に追われていた。
昨日急いで作られた割には、マリーナの衣装はよくできていた。
マリーナも、綺麗に着飾った自分に酔いしれていた。
「マリーナ様、足をお上げください。」
マリーナは靴をはかされた。
「なあに?これ。」
マリーナは自分の履いた靴を見て、不思議そうは顔をした。
使用人はギョッとした。
この国伝統の踊りは、この靴をはいて踊るものだ。
それを知らないとなると、踊れないということになる。
使用人は慌てて王に伝えようとしたが、王族は目立つ場所に座っており、使用人ごときが近寄れるような場所ではなかった。
使用人がおろおろしている内に、マリーナの出番がきた。
マリーナは初めてはいたくつで上手く歩けないのか、ペンギンのような歩きかたをしていた。
ソフィアはマリーナの様子をみて首を傾げた。
ソフィアにはマリーナの格好に見覚えがあったからだ。
その衣装や靴は、ソフィアが前世で習っていたバレエのものにそっくりだった。
ソフィアは懐かしい気持ちになった。
あれだけ大変でやめたいと思っていたバレエでも、本当にやらなくなると恋しくなるものだと気づいた。