6/21
大体モデルがバレる。
一番手のルシシアンの姫は、いつものように舞を舞った。
身体の線を見せないその衣装は、姫のミステリアスな雰囲気にぴったりだった。
ソフィアの知っている曲だった。
ソフィアは懐かしい曲を聞き、涙がこぼれそうになった。
姫の優雅なその動きは、見るもの全てを引きつけた。
王子も例外でなく、姫に魅せられていた。
それをよく思わなかったのはマリーナである。
「一人で踊っちゃって。かわいそうに、相手がいないのね。」
舞台から一番近い席で言ったマリーナに、王子も王妃もギョッとした。
(この娘はなにを言っているんだ...?)
王はなにか嫌な予感がしていた。
二番手はハウエイ国王子の婚約者だった。
ハウエイ国伝統の踊りは拙いフラダンスのようだった。
三番手のバチサン国はあまり大したものではなかった。
それらを間近でみたソフィアは、催し物を楽しんでいた。
ソフィアにとっては初めてのことで、大国がこの国に訪れるのもおよそ10年ぶりだった。
前回行われたときはまだ子供で、踊りを見るのも初めてだったのだ。