その名は...! 忘れました。
ソフィアが婚約破棄されたことは国中に広がった。
「ダレス王子!明日は大国の王族の方々を招くのですぞ?」
王の側近は慌てていた。
この辺りの国は、大国とそれ以外の小国に分けられる。
もちろん、ソフィアたちのいる国は小国だ。
小国はどうにか大国から恩恵を得ようと、あの手この手で気を引こうとする。
もし大国に粗相をおかすことがあれば、小国は簡単に滅ぶからだ。
「どうした、そんなに慌てて。準備は前々からできていただろう?」
王子は怪訝な顔をした。
大国を招待するための準備は、半年も前から綿密に計画が練られていたはずなのだ。
ただ、王子はあまり関心をもたず、全て家臣に任せていた。
そもそも、王が健在である内は、自由にしていて良いという考えをしていた。
「それが、大変なのです。催し物には王子の婚約者であらせられるソフィア様が参加されるご予定になっていたのです。」
「ソフィアが?それならマリーナに変更すればよい。」
「そんな簡単なことでは...」
王子は狼狽える家臣をみて、鼻を鳴らした。
(ソフィアにできて、マリーナに出来ないはずがない。)
王子はそう思っていた。
マリーナとは王子の新たな婚約者である。
パーティーで王子の隣に並んでいたのがマリーナだ。
天真爛漫で笑顔の可愛いマリーナを王子は大切にしていた。