誰だって?とりあえずそこは置いといて...
「ーーーは?」
王位争いに負けた。
王位継承権第四位の自分では、普通に待っていても王位は手に入らない。
だから、第三位から順に殺すことを決めた。
だが、第二王子でしくじった。
能力なし、と判断されていた第二王子があれほど強いとは思わなかった。
闘いで疲れた体は思うように動かない。
魔力を消費しすぎたツケがきた。
あの後、第二王子と第一王子の騎士に捕まったんだろう。
あの二人は手を組んでいた。
身体がズブズブと泥にはまっていくようだ。
「ちょっと、あんただれなの!?」
キンキンと耳障りな声がした。
ーー捕らえられて檻に入れられてるはずー
「あ?」
意識が浮上する。
「あんた、あの子の男、じゃないわよね?」
視界に女がうつる。
「てめえ、だれだ。」
目覚めたらここにいた。
殺風景な部屋。
タンスとベッドのみで、他には大した物は置かれていない。
「どこだ、ここは、」
魔力が回復しておらず、身動きがとれない。
「ここ?ここは、私の家。あの子の部屋よ。」
寝起きの頭にこの女の声が響く。
「チッ、」
(あの王子たちが俺を野放しにするわけがねぇ。)
この状況を読めない。
「ーー俺を知ってるか。」
「え?あなたみたいな美形、見たら忘れないと思うけど、」
(この女は俺を知らねぇ。てことは、ここは国外か?
うかつなことを言って、国への侵入者だと思われたら面倒だ。)