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また君に
ソフィアはルシシアンの王族と共に行動していた。
「見事な踊りだった。」「プリシラの負けかもな。」
第一王子も第二王子も、ソフィアの踊りをみて感動していた。
「互角よ。負けたわけじゃないわ!」
兄二人にからかわれたプリシラ姫は反論したが、悔しそうな顔はしていなかった。
もともと芸術を重視するルシシアンであったので、王も王妃もソフィアが共に行動することに異論はなかった。
(そろそろお家に帰りたいわ)
ソフィアはなかなか言い出せずにいた。
そのままズルズルと王宮まで来ていた。
他国の王族は、王宮に泊まるのが決まりである。
門番や、城の使用人も、ルシシアンの王族に混じるソフィアに怪訝な顔をしたが、流石に物申す人間は現れなかった。
「申し訳ありません。ソフィア様のお部屋が用意できておらず....」
まさかこんな形で宿泊者数が増えるとは、予想できなかった使用人たち。
ワガママだった頃の噂を知る彼らは、
(大変なことになった....)
と怯えた。
しかしソフィアはそれをいいことに帰ろうとし、
「私と一緒の部屋でいいわ。」
といった姫に無理やり引きとめられていた。