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ヴィクトルの場合


 研究者は、放っておかれると食事をしない。寝食を忘れて作業に没頭するのは、研究者としての性質だ。

 昔、花火というものに魅せられ、いつかそれを自分の手で作り出す事を目標に生きてきた。その結果、火薬にかける情熱と愛情が行きすぎて、爆発物にも詳しくなったのはご愛嬌。


 ヴィクトルが目標とするのは、夜空を埋め尽くすほどの光の花達が、1度に溢れ出るようなもの。それを求める最中でエアツェールングに立ち寄り、実験中に騎士隊宿舎の一部屋を爆破したのは記憶に新しい。今はそれを償うために、騎士隊監視下で生活中。宿屋の宿泊費と、爆破した部屋の修理費を免除する代わり、騎士隊で発生する雑務を、無駄に良い頭脳を駆使して処理している。


「よし、これで今日の分は終わりだな!」


 嬉々として騎士隊の書類処理を終えて、自らの研究に取りかかる。笑みを浮かべて、火薬の計算をする。今日はどこへ打ち上げに行こうかと考えると、日が沈むのが待ち遠しい。建物近くでの打ち上げが禁止されたのと、打ち上げ時は必ず騎士隊員を連れていくのが面倒だが。この街は、嫌いじゃない。


 ヴィクトルにとっての太陽とは。

 花火を打ち上げるのに、ちょっと邪魔な存在。



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