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ライナーの場合
酒場のマスターの朝は、最早昼だった。夜遅くまでの仕事だから、仕方ないという事にしている。もっとも、学生の頃から朝は苦手なのだが。
自分が起きてカーテンを開ける頃には、街の人達は各々の生活を始めている。おはようございます、と声を掛け、こんにちは、と返されるのも慣れたものだ。
目を覚ますために珈琲を入れて、郵便受けに届いている新聞を取り出す。自分宛に郵便物は殆ど届かないが、新聞だけは毎朝きちんと配達される。それを眺めながら珈琲を飲み、一息吐いたところで、ようやく目が覚める。
「今日は食堂にでも行ってみますかね……」
頑張っている双子の姉弟の姿が目に浮かぶ。いつのまにか、美味しい料理を作るようになっていた。負けてられないな、と。あの2人にはいつもやる気をもらう。
上りきった太陽は、眩しく街を照らしている。
ライナーにとっての太陽とは。
晴れた空に輝く、眩しい昼の光。




