痛い魔法使い
「ねえ、どうだった?」
「何が?」
親友が放課後に話しかけてきた。正直、今はテスト期間だからイライラしている。赤点で放課後のゲーム時間を削られるのは嫌だしな。マジ英語がやばい何で高校に入ったら英語の教科が増えるんだよ、俺はへの当て付けか? そうなのか?
「ディヴァイスオンラインさ」
「まあ、ぼちぼち」
まあ、テスト期間にゲームしている俺が言えた義理ではないのだが……
「テストのほうは大丈夫なの? ゲームばっかりしていると…………大変なことになるよ」
こいつは俺の心が読めるのか?
「お前はどうなんだよ、大企業のおっ坊ちゃん?」
「赤点は大丈夫なはずさ、どっかの誰かさんとは違ってな……」
くそっ……マジむかつくな、爆発しろよ。
「……っち、女にもモテて頭もそこそこ良い。本当に爆発しちまえよリア充」
「酷いことを言うな……君は……………。俺は異性にモテたことなんてないぜ。1回もね」
何を言っているんだこいつは、お前の隣にいる中の上ぐらいの眼鏡短髪に告ってみろよ直ぐにイエスの返事が貰えるはずだぜ
「閑話休題。ゲームのほうは今はまだチュートリアルだな、訓練場で訓練し終わった後。ちなみにキャラクターネームは白鶺鴒」
「ふーん、中二臭いね」
ほっとけ
「じゃ、楽しんでね。ある程度のレベルになったら教えてよ。パーティプレイいつか必ずしような」
その後俺は親友と別れた。親友は学校の寮生活なので学校に遅くいてもかまわない。うちも学校は寮生活している生徒と自宅から通っている生徒が大体比率で半々だ。ちなみに制服はない。最初のほうは俺も制服がなくて嬉しかったのだが今となったら後悔ばかりだ。毎日の服選びがめんどくさくてしょうがない。中学の弟の制服が羨ましくて羨ましくてしょうがないぜ。
俺は気に入った服を何個も買うタイプの人間だから毎日おんなじ服を着てると思われないように色違いにしてみたり大変なんだ。他のクラスメイトの服を参考にしてみたりファッション雑誌を参考にしてみたり変な苦労をする。俺は家に帰ると明日の服を準備してからゲーム機を起動する。……っえ? テスト勉強? 何それおいしいの?
うし、ロ-グ-イ-ン!
_______________ゲームの中_________
さて、ゲームの中に入ったから今日の予定を実行する。
今日の予定……それは、魔法だ!
やっぱ、ファンタジーといえば魔法でしょ。このゲームは魔法特化でなくてもそれなりに魔法が使えるのだ。しかも、その魔法にはこのディヴァイスオンライン特有の特徴がある。それは、魔法の詠唱を自分で自由に作ることができる事だ!
説明しよう。例えば、火の属性の魔法を使いたいとしよう。そしたら自分の中で[火]をイメージする言葉を並べる
[火]
煙
熱い
明るい
綺麗
こんな感じだ。そして上手くこれ等の単語を使って詠唱を組み立てる。ちなみに初級の魔法は10文字以内にまとめなくてはいけない。初級以上の魔法は中級20文字、上級が50文字以上だ。今、思い浮かべた単語すべて使うわけではないからそこはあしからず。最初は初級から
『熱き明かりよ』
これで手のひらや自分の周りに火らしき物が出てきたら成功で出てこなかったら失敗だ。魔法の成功失敗はサーバの人工知能が判定する。ゲーム内では神様が決めるいう設定。
この、成功を高めるためにはゲーム内の魔術学校に通わなければならない。魔術学校では上級以上の魔法を覚えるためには1年半通わなくてはいけないらしい。ちなみに有料で月1000Gだ。この魔法は攻略組みでも中級魔法が最高らしい。と、こんな感じで攻略サイトに書かれていた
俺は出来るなら風魔法と回復魔法を覚えたいと思っている。先ずは適当に風をイメージする言葉を言う。俺は人があまりいない公園で適当に詠唱を始める
「空気の揺らぎの力よ!」
何も起こらない
うん、失敗。まあ、最初だしね……
「音の波、我に力を!」
何も起こらない
うん……始めたばっかだしね
「嵐よ、起これ!」
何も起こらない
うん、攻略組の人も中級だしね
「空気の塊よ我に力を!」
何も起こらない
…………………………………………
「風よ戒めの鎖となれ」
何も起こらない
…………………………………………
「我の風に減れ伏せ」
何も起こらない
…………………………………………
「風よ、風よ、風よ、風よ、風よ」
何も起こらない
…………………………………………
「風よ、我が願いを聞け」
何も起こらない
…………………………………………
「風よ、願いを聞いて下さい」
何も起こらない
…………………………………………
「風様、お願い!聞いて~!」
何も起こらない
…………………………………………
くそっ、最初の方は俺っカッコよくね? とか思いながらやっていたのに段々、厨二病の痛い子が誰もいない公園で怪しい通販で買った魔道書を読み上げる感じに思えてきて死にたく成ってきたじゃねーか!
やべー、まさかゲーム内で黒歴史作ることになるとは……………マジ、恥ずい
うん、適当に魔法が使えないことが分ったからそれでよしとしよう。うん、そうしよう
どうするか……そうだ、奥義の言葉と少し似せるのはどうだろう? 確か奥義は『初めの道を歩む者、此処にその鋭き心に誓い放とう』だったよな。奥義と魔法は同じSPを使うからな~。奥義はHPとSPを使うからなもしかしたら、もしかするかもしれないな……
「凪から始まる力」
何も起こらないな
でも、何か今までと違う気がするぞ!
少し、詠唱を変えてみるか……
『始めの凪を歩む力よ』
小さな竜巻が俺の前で生まれた。ウッシャーーー!きたぜーーー!
{【風属性 (初級)《ウインド=カッター》】を習得しました
【冒険者】に成れる条件の二つを達成しました
報酬:スキルポイント50 10000Gを手に入れました}
うし、次は回復魔法だ。回復魔法も今と同じ要領でやってみるか……
回復で思い浮かぶ単語は……
「始めの………違うな」
回復魔法に始まりって言葉は違うよなじゃあ何だ?
回復ってのは、身体を直すことだろ? いや、それも違うなシステム(神)はそんな答えは望んでいないはずだ。何か回復で思い浮かぶ言葉は、身体が回復する、天気が回復する、景気が回復する……景気?何か引っかかるな……景気……企業……信用回復? これか!
『失いし物今ここに!』
身体が光りウインド=カッターで傷ついた地面が徐々に直っていった。うし、成功!
今回は簡単だったな
{【光属性 (初級)《ヒール=コレクキット》】を習得しました}
よし、これでフィールドに出ても大丈夫だな。
俺は、町に戻ってモンスターの討伐クエストを探した。とりあえず、簡単なのがいいよな……。町のクエスト受注掲示板を見ながら考える。
よし、これにしよう
{スモールビーストの討伐 15体 報酬150G}
スモールビーストは基本1~3レベルのモンスターだ。いでたちは1メートルぐらいのだんごむしだったはずだ。
「ねね、君~」
ん?
後ろから誰かに肩をたたかれた。振り向くとなかなかの美人冒険者がいた、腰まで伸びたエメラルドグリーンの髪。瞳は銀色だ
「何ですか? もしかして逆ナンってやつですかね?」
「違うって、君もそのスモールビーストのクエスト受けるんでしょ? なら、私たちのパーティーに一時的に参加しない?」
ほほう、渡りに船だな。もちろん、入らせてもらいますとも。VRMMOでは性別はごまかせないからなお姉さんあなたを俺の彼女候補としてみよう
「本当ですか!? よかった、これから探すところだったんですよ!」
次の投稿は22日です。もしかしたら、21日にも投稿するかもしれません
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