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訓練

俺は今、ある所に向かっている。最初の予定だと薬屋にポーションを買いに行く予定だったのだが、親父にポーションを貰ったので行く必要がなくなった。その、ある場所とはスキルを練習できる所だ。その場所の名前は〈練習場〉だ。何のひねりもない名前だがこれは必要な場所だ。

従来のゲームならスキルが手に入ればボタン一つでそのスキルが使えるがこと、VRMMOになると話は別だ。武器のスキルは勿論、スキルを使わない通常攻撃も身体(この場合はアバターだが)で体験しなければならない。旧オンラインゲームは運動を一切しないプレイヤーでもトップレベルのプレイヤーになれたがこのVRMMOではリアルでスポーツをしているプレイヤーが有利なのだ。とある、アニメで

「ゲームのプレイヤーとリアルの人間は反比例する」

と言っていたがこの場合は

「ゲームのプレイヤーとリアルの人間は比例する」

ということになる。


ちなみに俺はリアルでは部活を一切やったことがない。あえて言うなら『青空クラブ』だな。けど、スポーツが出来ないわけではない。どの部活でも補欠とレギュラーを行ったり来たりするくらいの自覚はある。では何で部活をしないかと言うと………上下関係が面倒くさいからだ。俺は自由人だからな、絶対に入った部活の先輩と喧嘩する。そして、部活の先輩と喧嘩すると部活内で孤立する。ならば、部活に入らない方がいいということだ。


うん、リアルの話は辞めにしよう。ここはゲームの中だ、ゲームの事に集中しよう。

町の中に武器屋の次に目立つ建物がある。そこが練習場だ。


練習場の建物の外見は東京ドームや大阪ドームをイメージしてもらえばそれでいい。ようは、ドーム状の建物だ。中はカラオケみたいに個室になっていてそれぞれ専属のコーチも付いて教えてくれる。そして、有料で100Gだ。結構な出費だよ………


「すいませ〜ん、短剣の訓練を受けたいのですが………」


ニコニコスマイル。綺麗なお姉さんだからね。胸の主張は少ないけど、それをカバーする顔がイイ!青色の肩まで伸びた髪がとても神秘的だよ〜。うん、流石ファンタジー。俺、もうリアルの女に興味なくなってしまうよ………


「はい、短剣で〜すね〜。何時間にしますか?」


えっ、まさか此処って1時間100Gなの?マジか………まあ、必要経費だからしょうがないよね。俺には指輪があるんだし問題なし。


「じぁ、5時間でお願いします。お姉さん、その髪、可愛いですね〜」

「はい、5時間で〜すね〜。ありがとうね〜。この髪結構目立つからあんまり好きじゃないんだけどね〜。だから、外では帽子とかパーカーとか被って出るんだよね〜」

「そんなっ、勿体無いですよ!そんな綺麗な髪を隠すなんて、空みたいで僕はイイと思いますよ!」

「うふ、あしぁとうね〜」


訓練場は結構広かった。多分、バスケのコート一つ分ぐらいだろう。そこで俺は剣を教えてくれる人を待っていた。


「やー。君が今回の冒険者見習い君だね。始めまして僕は君に剣を教えるニッケルだ。よろしく」

奥から中々のイケメンが出てきた。うん、第一印象はふわふわ系男子だな

「はい、白鶺鴒です。よろしくお願いします」

「しゃ、早速試合をしてみようか? 僕は実戦から色々詰めて教える派なんだ」


ふむ、ならやってみるか。俺は剣を構えた。刃先をニッケルに向ける。


すると、ニッケルの顔が鋭くなっていった。流石、剣を教えるほどの実力者だ。ゲームの中なのに殺気ってものを心が感じとってるよ。


俺はそのまま剣を振り下ろした。ニッケルは目にも止まらない速さでそれを避け、俺の喉元に剣を滑り込ませた。前に出て俺はそれを躱す。相手の剣は空を切る。


あっぶね。痛そうだな、まあ、所詮はゲームだから痛みは少ないらしいけど………嫌なものは嫌だよな。


俺はもう一度、ニッケルに剣を振り下ろす、と同時に頭突きを放つ。数秒後、気が付くと俺は仰向けに倒れていた。


やっぱ、ヤケクソでは勝てんよな〜


「中々ですね。度胸は結構ですが、戦闘センスが圧倒的にありませんね。まあ、最初はこの程度でしょう……」


その後も色々と指摘を受けて、ニッケルに手取り足取り教えてもらった。うん、剣術って難しいね。

それから、4時間半ぐらいは短剣の訓練をしていた。


「うん、白鶺鴒くん。そろそろ終わりの時間だね。君にこのスキルを伝授しよう」


メッセージが出た。

{【短剣スキル】を習得しました

【冒険者】に成れる条件の一つを達成しました

報酬:スキルポイント50 5000Gを手に入れました}


うむ、これでパワーアップしたのか?ステータスには何の変化も起きてないようだか……。まあ、気にしないでおこう


「うん?

君はまだ冒険者になる条件を満たしてないのかい?」


「ええ、まあーそうなるんですかね?

出来ればその条件とやらを教えてはくれませんか?」


「うん、まぁーイイよ。別に国家機密ってわけじゃないからね」


ニッケルが教えてくれた内容はこうだ。


スキルの習得

魔法の使用

モンスターの単独討伐

武器の強化

ポーションの使用


これら4つの条件で晴れて冒険者になれるらしい。うん、まだチュートリアルなんだな〜


「じゃア、白鶺鴒くーん。最後に僕の奥義を君に伝授してあげようね〜。5時間も、僕の修行に耐えてくれたほんのささやかな報酬だよ」


ニッケルはそれを言うと腰に下げてた剣を抜いて俺にむけた。殺気がどんどん強くなって俺は後ずさってしまった。此奴、どんだけだよ!


『初めの道を歩む者、此処にその鋭き心に誓い放とう』


ニッケルがその言葉を言い終わった後。ニッケルが持っている剣が輝き出した。俺は本能的にニッケルの前が危険だと思い左に避ける。

避けた瞬間ニッケルは剣を振り下ろすと光の刃らしきモノが剣から飛び出した。その光の刃は修行場の床を切り裂きながら10メートルぐらい飛んで消えた。


なんだよ……コレ


「ふふ、どうだい?僕の奥義【放斬】は。凄いだろう?」

BLE○CHの○護かよ。まあ、憧れるけどな。かっこイイよなあの漫画。俺も中二の時に散々真似したものだよ。虚○とかしたいよな。あの仮面をホームセンターで買ってきた木の板で作ろうとしたのはいい思い出だよ。


「凄いですね。俺もやってみます」

「うん、頑張って盗んでね」


奥義って寿司職人みたいに師匠から技を盗むらいしな。うし、やってみるか

殺気の出し方はわかんねえから呪文みたいのからいくか……


『初めの道を……』


ドット疲れた。マジかよ……


「ハハッ。そんな簡単に奥義ができると思った〜。残念でした〜」


クソッムカつく!馬鹿にしやがって……


『初めの道を歩む者、此処にその……』


やっぱり出来なかった。クソッムカつく。絶対にできるようにしてやる。目指せ、○護だ。

俺は其の後の残り時間を奥義習得のため奮闘したが出来るようにはならなかった。ニッケルめ、覚えてろよ絶対に習得してやるからな!

捨て台詞を吐いてその日はログアウトした

最後まで読んでくださりありがとうございます

20日の投稿に変更はございません

更新予定としては2日に一度投稿できたらいいと思っています

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