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城郭の調香師 第1部 赤い月の呪いと調香師と紫の炎  作者: 悠 聖藍


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第1部 第6話 調香依頼 3

 M・D・R…ディレクター!?

あの世界的超ハイブランドの!?

僕は驚きつつ、リュミエレルのカトリーヌさんを応接室に案内した。


 アイナが淹れてくれたハーブティーをカトリーヌさんと師匠の前にそっとお出しする。


「驚きました。まさか M・D・R ディレクターの方が、こんなところまで来てくださるなんて」


「…観光半分、視察半分、あなたのお店はついでと言ったところかしら」


「ははは。たとえ“ついで”でも、M・D・R の方が来てくださるだけで光栄ですよ」


 師匠は、微笑みながらそう言った。


「でもね――ついでに立ち寄ったお店が、まさかこんな上品で美しい香水を作っているなんて思わなかったわ。本当は交渉するつもりじゃなかったけれど、あなたの香りなら、うちのメイクアップ・クリエイターも納得するかもしれないと思ったの」


「メイクアップクリエイター…ですか?となると、化粧品の調香ですね」


「ええ、ズバリあなたに今度うちの新作リップスティックの調香をお願いしたいの!」


 香水ではない――。

だが、M・D・R のような超一流ハイブランドなら、確かに専属調香師が香水を担当しているはずだ。


「とは言っても、実は何人かの調香師に同じ依頼をしているの。うちのメイクアップ・クリエイターはとてもこだわりが強くて、なかなか納得してくれないのよ。でも、もしあなたの調香を気に入ってくれたなら――あなたをM・D・R のメイクアップ部門の契約調香師として迎えたいわ」


「なるほど。つまり、クリエイターの方を納得させる香りを作れなければ、正式な契約はできない……ということですね。これは試験でもあると」


「話が早くて助かるわ。ええ、その通りよ。うちには専属調香師がい

から香水部門であなたと契約は出来ないけど、メイクアップ部門なら契約できるわ。どう?挑戦してみない?」


 師匠は力強い目で頷いた。


「ええ、こんな大きな挑戦、願ってもない事です!ぜひやらせて下さい!」


「ふふ。交渉成立ね。――期限は一ヶ月。先ほども言ったように、何人かの候補に依頼しているけれど、最終的に決めるのはうちのメイクアップ・クリエイター、アンドリアン・フィリップよ」


「わかりました!全力で挑戦させていただきます!」


「ええ、よろしくね。何かあれば、ここへ連絡してちょうだい」


カトリーヌさんは名刺を差し出し、優雅な笑みを残して工房を後にした。


「師匠…あの、こう言っちゃあなんですが、本当にあの方は、メゾン・ド・リュミエレルの人なのでしょうか? M・D・R と言ったら、世界的超ハイブランドメーカーですよね…?」


 僕の疑問に師匠は笑って応えた。


「ははは!ジョンはまだまだだな。ほら」


 師匠は応接室にあるタブレットを取って、M・D・R のインタビュー記事を見せてくれた。


「あ!このインタビュー…カトリーヌさんだ!」


 記事の内容は、M・D・R が新作リップスティックを開発中であること。

それを担当するのが、M・D・R の専属の人気クリエーターであるアンドリアン・フィリップ氏が務めることが記されていた。


「アンドリアン・フィリップ氏といえば、絶妙な色合いを生み出すコスメ界の《色彩の魔術師》と呼ばれる人物だ。その人が手掛けるリップスティックの調香に挑戦できるなんて……調香師冥利に尽きるな。――だが……」


「だが…なんです?」


「やるからには、全力で勝ち取るぞ。ジョン、君にも手伝ってもらう!」


「はい!絶対に勝ちましょう!」


こうして、僕と師匠は、メゾン・ド・リュミエレル社の新作リップスティックの調香コンペに挑むことになった。

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