第1部 第14話 事情聴取
謎の紫の炎は屋敷全体を包んだが、消防隊が駆けつけた頃には消え去り、燃えた痕跡はまったく残っていなかった。師匠は、駆けつけた消防隊と警察の事情聴取を受けていた。
「つまり、思い当たるフシはまったくないわけですね」
「ええ、屋敷内にある工房は、確かにエタノールなどを扱っているとはいえ、燃えるようなものは一切近づけていません。エアコンによる暖房のみです」
「ふむ…お宅の工房に防犯カメラは?」
「いえ、まさかこんな自体になるとは思わなかったので、うちには防犯カメラなどは付いてないです」
「ふう…困ったもんですね…仕方ない、街の防犯カメラで捜査しましょう」
「申し訳ありません」
城郭都市アウラは、アウラトル公爵家が代々治めてきた堅牢な都市だ。
犯罪など滅多に起こらないこの街で、こんな事件が起きるなんて…
公爵閣下は、国際機関の総帥ゆえセキュリティが厳しい。そんな都市で、謎の紫の炎に、痕跡もまったくないとなると…やっぱり…僕の呪いが勝手になにか発動したのだろうか…。
「クロウさん、申し訳ありませんが屋敷内も捜査させてもらいますよ」
「ええ、仕方ありません。よろしくお願いします」
…僕の…僕のせいなのか?
「ジョン!」
ジュリアンが僕に声をかけてきた。
「ジョン、なに考え込んでいるのよ!あんたがしっかりしないでどうするの!」
「…え?」
「…確かに紫の炎は謎だし、お屋敷や工房内は被害は無かったみたいだけど、それでもただ事ではないのは確かだわ!何を悩んでいるのかは知らないけど、あんたはそうやって落ち込んでるだけしかしないワケ?あんたには、あんたのやるべきことだってあるでしょ!!」
「…ジュリアン…」
「私、ちょっと急用が出来たからこれで失礼するわ!ジョン!あんた、負けるんじゃないわよ!」
「なっ…!負けてなんかいない!」
「フフ…調子戻ってきたじゃない!じゃあね!」
そう言って、ジュリアンは足早に去っていってしまった。ちくしょう!ジュリアンなんかに諭されてしまった!でも、ジュリアンの言う通りだ。これが僕の呪いのせいかわからないけど、とにかく、僕が出来ることをするんだ!
とは言うものの…いったい僕に何が出来るのだろうか…




