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第一話

 1

 冷たいものを肌に感じ、目を覚まそうとするが瞼が重くてできない。代わりに夢のような世界にいた。

 不思議な声が空間に響き渡る。

「人の子よ。どうかこの世界の均衡を取り戻してください。あなただけが希望なのです」

 次の瞬間。体に重たい電撃のようなものを感じ、痛みを覚えた。


 2

 ドン!!!

 衝撃を感じ、飛び上がる。あたりを見渡すと平原だ。草しかねえ。なんだ?何が起こった?確か下校中に変な魔法陣みたいなのが出てきて。視界が白くなって、不思議な声が聞こえて。

「もしかして……異世界召喚!?まじ!?」

 驚いて叫ぶ。ノベルの世界の?異世界召喚……

「よっしゃーついに俺にも来た異世界でモテモテハーレムや。こうしちゃいられない美女はどこだ?俺のヒロインを探しに行かなくては」

 いやいや冷静になれ。こういうのはセオリーがあるんだ。まずはステータスの確認だな。

「ステータスオープン…あれっ?」

 開かない。開き方が違うのかな?ダメだ。どうやっても開けない。まあいいや。とりあえず……ここどこだ?

「えーとどれどれ?向こうには山と森。向こうには...お!村がある!よし、とりあえず行こう!」

 五分ほど歩くと村に着いた。

 村にトウチャーク。さて、まずは冒険者ギルドを探して資金稼ぎだ今の手持ちの日本円じゃ使い物にならないからな。やっぱり金貨か銀貨かもしれない。

 ギルドを探して辺りを見渡していると、十歳くらいの少年に話しかけられた。

「お兄さん冒険初心者でしょ。村の広場にある冒険者ギルドでいろいろ教えてもらいなよ。そんなんじゃ、死んじゃうよ?」

 悪魔的な笑みを浮かべて少年は走り去っていった。なんだあの子。変な子だな。でも、情報をゲットできた。ありがとな。心の中でつぶやき、ギルドに向かう。

「結構、古いんだな」

 広場に佇んでいたのは、古い小さな建物だった。中に入ると、数組の冒険者たちがいた。皆、しっかり頑丈そうな装備で軽装な俺は周りとの差を感じる。こんなんで、俺は、生き延びていけるのか?

「とりあえず、冒険者登録だ」

 不安をかき消すようにつぶやき、列に並ぶ。大して人がいないからか、すぐに順番は回ってきた。

「あのーすみません。登録ってできますか?」

 カウンターで聞く。

「登録希望ですね。かしこまりました。少々お待ちください」

 軽く透き通った声で言い残し、奥へ消えていく。しばらくして書類を持ってやってきた。

「ではこちらが登録用の書類になります こちらに名前、出身、現在のステータスそしてスキル名をお書きください」

 そう言いながら、申込書とペンが差し出される。

「わかりました……。すみません、ステータスとスキルがわからないです」

 と聞くと単行本より一回り大きな黒よりの上品な紫色の本を取り出した。

「ではこちらのグリモワールに手をかざしてください。ふむふむ……なるほど現在のステータスの数値はこちらになります。一般的な数値ですね。それとこれは……言語変換スキルと……なんでしょう?二つとも初めて見るスキルですね。一つは文字なのかも怪しいですけど。まあいいでしょう」

 言いながら、こちらに見せてくる。

「ありがとうございます。はいどうぞ」

 紙を渡すと、受付嬢は怪訝な顔をする。

「はい確かに受け取りました。……すみませんお聞きしたいのですがこのニッポンというのは何処の国または地名ですか?」

「あっそれは」

 どう答えればいいかわからずおよおよしていると受付嬢が口を開いた。

「なるほど訳アリですか。では最後にこのナイフを使って血判をお願いします」

 マジかよ。いや大丈夫だ。ちょっとちくっとするだけだ。うん。いけるいける。内心びっくりしながら、血判をする。受付嬢が確認すると、

「はいありがとうございます。登録完了しました。こちらが初回限定の軍資金とランクカードになります。ランクはS・A・B・C・D・E・Fとなっております。ステータスとスキルによってはDランクから始められますが、今回はステータスが一般的なのでFランクからになります。他にもステータスの変化によって最適なジョブに登録することができます。ジョブにはそれぞれの特権がありますので、ぜひ登録して活用してみてください。あっあとこのランクが高いほど受けれる依頼も増えてさらには指名で呼ばれることもあります。最近では異変が多いので初心者向けの依頼がすくないですがぜひ頑張ってください」

 と登録完了を告げられたので、お礼を言いギルドを後にした。

 よっしゃ!これで俺も異世界モテモテハーレムライフの始まりだー!


 3


 いやーザ・異世界って感じだったなそういえばあの魔法陣ってなんだったんだ?召喚かなって思ったけどわりかし雑なところに放り出されたし、それにあそこにはソウタもいたし……ソウタ!テンションが上がっててソウタのこと忘れてた!アイツ今どこにいる!?いやいや落ち着け俺。まだこっちの世界にあいつが来たわけでもない。それにあいつのことだ。なんとかしてるさ。何処かでばったり会うかもしれないし、そうに違いない。ある程度身の回りが整ったら探しに行ってやるか。そうと決まればまずは装備を整えなくては。鍛冶屋はどこだ?ちょっとそこら辺の人に聞いてみるか。

 あたりを見渡すと、広場のベンチに腰かけている本を読んでいる賢そうなおじさんを見つけた。おじさんのもとへ駆け寄り、訊ねる。

「すみません。鍛冶屋はどこか教えてもらえませんか?」

 おじさんは本から顔を上げ、場所を教えてくれた。

「広場の噴水に結晶がいくつか浮いてるだろう?その一番大きい結晶が向いている方向の道を歩いていけば、右のほうに見えてくるよ。冒険者かい?頑張ってね」

「ありがとうございます。頑張ります」

 お礼を言い、鍛冶屋に向かって歩いていく。しばらくすると、鍛冶屋の看板が見えてきた。木造の建物で屋根瓦にはツタが生えていて、歴史が感じられる。中に入ると、種類は多くないが冒険初心者の俺には、丁度よい品揃えだ。剣や戦斧、革の鎧や、魔法が組み込まれたローブなんかも売っている。俺は、ギルドでもらった軍事金を確認し、薬草やポーションを入れるポーチと革の鎧、そして兵士とかが持っていそうなシンプルな剣を手に取り、カウンターに行く。

「お願いします」

 そう言いながら、品物をカウンターに置く。

「あいよー。兄ちゃん鍛冶屋で買い物するのは、初めてだろ?品物を見ればわかるさ。ギルドの軍事金で買うんだろ。サービスしといてやるから、大事に使いなー。はい。銅貨六枚」

 銅貨六枚をカウンターに置くと、鍛冶屋の男はニッと歯を見せて笑い

「あいよー。頑張れよ」

 と言ってくれた。

「おう。ありがとな」

 笑顔で返し、店を出る。次に鍛冶屋の斜め前にあった道具屋に入る。どうやら、冒険者用の店はこの通りに集まっているらしい。えっとまずは、回復ポーションだ。そう思い、ポーションの棚に向かうと、他にもいろんな種類があった。とりあえず、使える路銀にも限りがあるので一番安いポーションを三つ手に取る。カウンターには、知的な眼鏡をかけたお姉さんが座っていた。

「すみません。これください」

 そういうと、彼女は腰を上げ

「は~い。銅貨六枚ね~」

 美しい容姿とは裏腹に甘ったるい声で言う。

「はい。どうぞ」

 びっくりしながら、銅貨を出すと

「毎度あり~」

 嬉しそうにそう言った。俺は、軽く会釈すると道具屋を後にした。

 道具屋を出ると、ポーションをポーチにしまい革の鎧も着る。

 そして、再びギルドに戻りクエストボードを確認する。二十くらいあるクエストの中から、Fランク用の薬草集めのクエストを見つける。受付嬢が言っていた通り、上位ランクのクエストが半分を占めていた。依頼者は薬屋の手伝いみたいだ。場所を確認すると「【朝日の林】の光の池」と書いてある。ギルドで村周辺の地図が配られていたので、それを貰い「【朝日の林】入口」を探す。どうやら、村の西門から川沿いを北にいくとあるそうだ。


 4


 村の西門に着くと看板が立っていたのでまず川を目指す。五分ほど歩くと川が見えてきた。透き通った川に木や花が写っている。美しい景色に心を奪われているとハッと我に返る。こうしている場合じゃない。日が暮れる前に終わらせないと。そう思い、急いで川沿いを北に向かって歩いていく。十五分ほど歩くと入口の橋が見えてきた。川を渡るともう【朝日の林】らしい。そういえば俺のスキルってなにがあったっけ?ステータスがこの世に存在しないっぽいからわからねぇや。まあいっか。そのうち思い出すさ。そんなことを思いながら橋を渡り、少し歩くとモグラの穴みたいなものがたくさんあった。不思議に思い、見つめているとドゴン!!と大きな音が聞こえ警戒の態勢に入る。足元から何か来るのを感じ、咄嗟に逃げると地面から三メートルくらいの大きなモグラみたいな熊のような謎の生物が現れた。モンスターだと直感的に察し剣を構える。

「この世界にきての初戦闘か。よっしゃ召喚者のチート無双パワーを見せてやる」

 興奮し、思わず口に出しながら立ち向かっていく。ところが次の瞬間、剣は弾き飛ばされた。何も見えなかった。速すぎて。状況がわかってくると、何か闇のような感情が込み上げてきた。ドゴーン!!もたもたしすぎて二撃目が体に打ちこまれる。

 痛い痛い痛い痛い痛い。なんで?傷?え?俺の異世界無双は?モテモテハーレムは?最強スキルは?え?なんで今死にそうになってるんだ?ちょっとくらっただけなのになんで?いやだいやだいやだ。死にたくない死にたくない。なんで異世界に来てまでこんな目にあっているんだよ。なんでなんだよ。いいじゃねえか。前の世界では特に人生で輝いたこともない人生で、やっとここに来て俺もついに来たと思ったのになんなんだよ。これおかしいだろ。結局は同じかよ。しかも結局惨めに死ぬのかよ。なんでさ。なんで。夢くらい見てもいいだろ……。なんで、なんでこんな目に合わなきゃいけねーんだ。……もういい。もう異世界には期待しない俺みたいなやつは夢なんか見れねぇ。ただせめて一矢報いてやる。殺してやる。殺してやるんだ。目の前のやつだけでも、もうどうなってもいいヤケクソだどうせ負けるなら今までのクソみたいな人生の鬱憤を全部ぶつけてから死んでやる。殺す……ぜってぇぶっ殺す。そして俺は地面を蹴った。地面を踏み抜きながら、そして一瞬で距離を詰めるモンスターは驚いたようだがそんなものは関係ない。俺は素早く振りかぶりモンスターの腹部に思いっきり叩き込んだ。モンスターの上半身は完全に消し飛び、ものすごい爆風があたりに吹き荒れる。そして、その衝撃は天まで届き周囲の雲も吹き飛ばし綺麗な円を空に描く。

 ああ、思い出した。俺のスキルは【怨炎の鬼神(オンエンノキジン)】だ


 5


怨炎の鬼神(オンエンノキジン)

 このスキルはカナト・カナイ専用のスキルである。彼の負の感情を原動力に超常的身体能力と特殊効果を与える。

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