プロローグ
1
愛や勇気などおとぎ話の世界だけの物語だ。現実ではそんなものは存在しない。いたとしてもそれはごく一部の話。では現実ではなんだ?それは、嫉妬や憎悪などの醜い感情である。嫌だろう?だが、これが現実だ。それがすべての源であり力だ。それが嘘なのかそうでないのかは、いつか分かる日が来るだろう。だって、世界は歪なものだから。
2
「おはよう。哉人」
親友の爽太が言う。いつもの朝。いつもの日常。ずっとこんな日々が続くと思っている。そんな、ある日から始まった物語。
「ああ、おはよう」
眠い目をこすりながら俺は言った。凛とした顔。藍色の瞳。綺麗な黒髪の青年。こいつが俺の親友、爽太だ。いつも、俺は爽太と登校している。爽太は、イケメンで優しくて勉強もスポーツもできてまさに宝石のような輝きを持っている。そんな爽太を親友にもつ俺は、何でもできる爽太に嫉妬してばかりで嫌になる。ではなぜ、俺が爽太と親友を続けているかというとお互いに本音を言える唯一の友達だから。学校に着くと一気に爽太は人気者になる。「おはよう」そんな言葉をたくさんのクラスメイトからかけられる。あっという間に爽太の席に人が集まり俺は、一人になった。チャイムが鳴るとクラスメイト達は、それぞれの席に戻っていく。今日は、期末試験の結果が返ってくる日だ。
「はーい。それでは、成績表を返却しまーす。今回の一位は霧島。おめでとう!でもまだ、伸びしろがあるから油断するなよー」
担任が発表すると、周りのクラスメイト達は盛り上がる。
「また霧島君だー。すごーい」
一軍女子たちが言う。
「すげーな爽太。今度勉強おしえてくれよ」
周りの男子たちが言う。
爽太は照れながら謙遜している。休み時間にトイレに行くと、爽太への嫉妬、侮辱、軽蔑の言葉であふれかえっていた。
「またあいつが1位だよ。調子に乗りやがって」
「頑張ってテストやっている人の気にもなってほしいよ」
くだらない。でも、俺もあいつに嫉妬している。だけど、あいつらとは違う。そんな矛盾した感情が心を喰らっていく。
そんなこんなで学校もいつものように終わり、爽太と二人で下校していた。
「お前また1位か。羨ましいぜ。ほんと」
少し、嫌味っぽく言うと親友は笑顔になった。
「そんなことを言ってくれるのはお前だけだよ。ありがとな、哉人」
爽太が微笑みながら言う。
そんな時だった。俺たちの足元に瑠璃色の魔法陣のようなものが現れ、白い光に包まれ視界がなにも見えなくなった。




