表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/8

第4章:火薬庫の卒業──再燃なき中東

かつて、

中東という地域は、

世界の不安定の象徴だった。


絶え間ない火種、

繰り返される報復、

血と火薬の匂いに満ちた、

「燃え上がり続ける地図」。


だが──

その光景は、

もはや過去のものとなりつつある。


イラン本国は降伏交渉に入り、

フーシ派も、ヒズボラも、ハマスも、

もはや独自に戦争を起こせる組織力を持たない。


シリアのアサド政権は崩壊し、

ロシアの影響力ラインも断ち切られた。


そして、

かつて火薬を注いでいた国々も、

それどころではなくなった。


ロシアはウクライナ戦争の泥沼で力を失い、

中国は国内疲弊と国際的包囲網に忙殺され、

トルコも、サウジも、

もはや無謀な介入に乗り出す余裕など持ち合わせていない。


燃えるものが燃え尽きたのではない。

燃料そのものが、

世界から失われたのだ。


もちろん、小さな火花は、これからも散るだろう。


局地的なテロ、

限定的な軍事衝突、

報復と対抗措置の応酬──


だが、それらはもはや、

地域秩序を根本から揺るがすような大火にはなり得ない。


火薬庫と呼ばれた中東は、

ここに、

卒業したのである。


それは、劇的なセレモニーではなかった。


誰もが気づかぬうちに、

静かに、静かに、

「燃える理由」そのものが消えていった。


そして、

世界の関心は、

中東という局地の争いから離れ、

より大きな、より切実な課題へと向かい始める。


それは、

地球全体の、

生存をかけた戦い。


──次章では、

この「燃え尽きた後の世界」が、

いかに静かに、しかし確実に整理されていくのかを見ていこう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ