魔王軍最強部隊
「太田さん、僕らもとうとう警備になっちゃいましたね」
「そうだね。僕の地位も落ちちゃったし…。やっぱ人間が増えてるのかな」
「おいそこ!警戒を怠るな!先週も警戒を怠り死んだ魔族が居たぞ!」
魔王城警備隊。魔王軍が誇る最強の防衛部隊。守りに関しては四天王を凌ぐほど鉄壁の防御を見せる組織。
「…初めて見る種族の方が多いですね。どうしてでしょうか」
「全員が上澄みだ。長年の勘がそう言っている。隊長は僕が生まれた頃から最前線で現役の戦士。当時と容姿が全く変わっていない。全く老けない人っぽいね」
2人が配属されたのはこの前壊滅した前線部隊の方角。こちらから人間が多く現れている。
「あ、敵発見!」
遠くから馬車に乗ってきている老夫婦が見えた。
「…危険じゃ無さそうですけど…」
「!!あの鬼畜共め…また現れたな…全員防御態勢!援軍が来るまで持ち堪えろ!」
全員が防御した瞬間、お婆さんから凄まじい熱波が飛んできた。
「おやまぁ。私の熱波に耐えるとは。わしも衰えたもんじゃノォ」
隣にいるお爺さんは嫌そうにしていた。
「婆さんや、やめとくれ。そりゃ暑い」
「太田さん、火葬されちゃいますよ〜!」
「この状況で冗談を言うんじゃない!」
その時、魔王城から魔物の部隊が出撃してきた。
「全員構えろ!」
水スライムは魔王城を覆うように広がり壁になった。
しかし、あっという間にスライムは溶けてしまった。
「門を開けな!魔王に用があるんだよ!」
「え?じゃあ」
「待て!!門は開くな!!」
門が少し開いた瞬間、魔王城が少し光った。
「ふっ。爺さん、行きな」
「はいよぉ!」
お爺さんは馬に飛び乗ると槍を構えながら走り出した。
「槍槍槍槍矛!!」
お爺さんの槍は魔王城を真っ二つに切り裂いた。
「ええ?」
「エエエ?」
魔王城の中から大量の魔族と魔物が落下していくのが見えた。
「え?」
「さてと、わしらの任務は終わりじゃ。では…」
「よくもやってくれたわね」
ソフィアが現れた。
「血液チュルチュル」
お爺さんとソフィアの肩に血液の管のようなものが繋がれた。
「…あなたはあの婆さんを殺しなさい。」
お爺さんは目が赤くなるとお婆さん目掛けて攻撃に向かった。
「…さてと、どうしようかな…」
魔王城はプッツリ切れていた。
後日、襲撃により崩壊した魔王城をどうするかで会議が行われていた。
「ま、魔王様、立て直しの費用ですが400億円…我々魔王軍の貯金を全て使ったとしても40万円用意するのが限界かと」
「くぃぃぃぃ!よし、ミニ魔王城を作ろう。予算は半分が限界だ。修復作業をする者以外は全て人間に変装し人間の国で資金を集めてこい!」
魔王城は見るも無惨に破壊されていた。
「お前たちは貿易都市 オカネラブ街での集金を命じる。オカネラブは人間の経済が活発に動いている主要都市だ。魔族と同行してもらう」
太田さんは別の町の担当になった。1号と同じ職場になったのは悪魔とスケルトンの中間種族の死神のデスオさんだ。
「よろしくお願いしますね」
「…あ あ」
デスオさんは死にそうな声で話した。
「私とはここで別れよう。何かあればすぐに連絡しろ。」
連れてきてくれた魔族の人は別方向に進んで行った。
「うわ!」
「あ、私…人間に…スゥハァ…見えてますか?」
「ああ、そうか。はい!完璧な人間です。」
2人が最初に向かったのはコンビニ。
「面接会場こちらでーす!…お!参加されますか?」
「はい」
「ではどうぞー!」
2人は面接会場にやってきた。
「では、死亡理由…志望理由は?」
「はい、人間の死体が白骨化した者に魂が宿り生まれて…」
「はい!はい!僕はですね、骨川と言います。えーと、志望理由は…お金が欲しいからですね」
「…?まあ人手不足だし取り敢えず採用で!」
「じゃ、仕事を言うね。あ、取り敢えず今は勝さんに任せようかな。勝さーん」
「ほあ?ウッキー!」