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「お前はこれから、異世界に転移して世界を救うのだ。その褒美に、どんな願いでも1つだけ叶えてやろう」
「ティン☆ポコティーン3世という激痛アカウント作った奴の本名が知りたいです」
「どんな願いでもと言ってるんだが?!」
「だからティン……」
「いやフツーに他のにしろ!」
「あ?どんな願いでも叶えるって言ってたじゃないですか」
「だから駄目っつってんだろ。そんなん叶えた日にゃあ俺が天界で笑われるんだよ人様に迷惑かけるなって親に習わなかったの?」
「あんた神じゃん」
「神にも人付き合いとかあるの!」
「へー意外と大変なんすね神も」
「まぁな。だがお前は何でまたそんなトンチンカンな願いをしたんだ?」
「そんな、トンチンカンだなんて酷い………。
私はただ、通りすがりに見た動画のコメント欄に『うんポコてんてんティーン』とどの面下げて打ち込んだのかそのクソみてぇな捨て垢名のゴミの正体を知りたい、それだけなんです!!!」
「純粋に歪んでるなお前」
「歪んでいるからこそ、同志たるこのうんポコに非常に興味がありまして……!」
「お前ヤバい奴だな」
「ありがとうございます!!!!!」
「……もう帰りたい」
「待ってください、どんな願いでも叶えてくれるって言ってたじゃないですか!」
「いや、もういい。お前じゃない奴にする。じゃあな」
「えっ、そんな、まっ…!」
真っ白な空間から、一瞬にして目の前が暗くなる。
その後、神とか言う存在が私の近くから完全に消え………、
私はホッと胸を撫で下ろした。
「……嫌よ。今時こすり過ぎて味もしねーようなネタに巻き込まれるだなんて」
やっと死ねたのだ。
本当に苦しい人生だった。
この記憶を持ったまま、まだ生きなきゃならないだなんて。
私には耐えられない。
こうして、私は闇に溶けた。